暗号資産投資トラブルで「20億円」丸儲け ヤクザに追われ、米国で50万ドルを踏み倒し…笑顔が眩しい「日本人ギャンブラー」はどこへ消えた?
一カ月でウォレット残高が4~500万円増えた
コースケは勧誘にも関わっていた。2020年7月に大分県で開催された勧誘セミナーの動画には、「一生に一回、このチャンスあるかどうかですよ」と聴衆に向かって熱弁をふるうTシャツ姿のコースケが映っている。だが、事業破綻後は「自分はただの送金代行業者に過ぎない」などと居直り、返金請求する被害者たちから逃げているという。
5800万円をPGAに投資してしまった福岡県の会社経営者Bさん(50代)が語る。
「私の場合は知人からの勧誘でした。『運営トップにいる人間を知っているから大丈夫だ。直接紹介する』というので、20年7月にわざわざ私が住む福岡までやってきたトップリーダーのSという男にまず会った。Sが『この案件は間違いない。ずっと続いていくから大丈夫』『配当は月に20~25%』と言うので、手渡しでまず1500万円を預けました」
すると、すぐにPGAが運営するサイト上のウォレットの残高が目に見えて増え始めた。その気になったBさんは3日後に、CSRの代表取締役であるコースケの兄名義の口座に500万円を振り込んだ。一カ月後にウォレット残高が4~500万円増えるとさらに2000万円追加するだけでなく、二人の知人も紹介した。
「その時は福岡で大きなセミナーをやるから直接持ってきて欲しいというので、知人と一緒に向かいました。その際、Sと並んで同席していたのがコースケです」(Bさん)
阿鼻叫喚のはじまり
金の受け渡し場所はセミナー会場の入り口。Bさんらが机に現金3000万円を並べている最中に、100人くらい集まったセミナー参加者の入場が始まったという。つまり、Bさんらは勧誘の“ダシ”にも使われてしまったのだ。
「話をするのはもっぱらSで、コースケは持参したビジネスバッグに黙々と札束を入れていました。コースケはTシャツにデニムというラフな格好なんですが、ダイヤが散りばめられたすごい高級腕時計をしていたのを覚えています」(Bさん)
半月後にBさんはさらに1800万円を追加。だが、その一カ月後の9月末、突如、ウォレットの画面が開けなくなってしまった。この時、慌てふためいたのはBさんだけではない。2万人とも言われる被害者たちの阿鼻叫喚の始まりだった。前出のAさんが振り返る。
「SNS上には“出金できない”という悲鳴が溢れかえりました。調べてみると、彼らが中国の深圳にあると言っていた本部はただのレンタルルームで、パンフレットに書かれていた外国人開発者も全部デタラメだったことが判明した。出資金を集めて逃げるためのポンジスキームだったのです」
LINE上にはオープンチャットが乱立。そこからいくつかの被害者の会が設立されていったというが、
「その中に“おかわり詐欺”をもくろむ悪い奴らも混じっていた。“PGAの被害金を取り返すため”という触れ込みで、新たな投資案件『ゴッドソード』なるものが紹介されたのです。これも3カ月くらいで破綻し被害は拡大した。この新規案件を主導したのはコースケと言われています」(Aさん)
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