創価学会にやたらと嫌われている「茂木幹事長」が自公亀裂のキーマンである理由
「10増10減」を巡って
次期衆院選で小選挙区の定数が「10増10減」されることに伴い、自民党と公明党は候補者調整を進めてきた。しかし、公明と支持母体の創価学会が望む東京28区(練馬区東部)での擁立を自民は拒絶。これを受けて公明はそれを受け入れる代わりに「東京の選挙区では自民候補の推薦を見送る、都議会での自民との協力関係を白紙に戻す」方針を打ち出すことにーーというのがこのところ話題の「自公亀裂」のあらましである。では、この亀裂の発端はどこにあるのか。最大の「責任者」として名指しされているのが茂木敏充自民党幹事長である。
【写真を見る】必死の形相で公明党議員の応援演説を行う「久本雅美」「柴田理恵」
そもそも今回の件、どのくらい深刻なものだと当事者は受け止めているのか。
「自公両党には四半世紀に及ぶ連立の歴史があり、今回の件でそれを反故(ほご)にすることにはならないとは見ています。ただ、これが揉めているフリだとかプロレスだとかということは全くありません。ガチンコですね」
と、政治部デスク。
相互推薦での行き違い
「公明・学会側としては“東京28区が欲しいというのは、それほど無理な要求ではないでしょう”という認識でいたのですが、自民側に拒絶されてしまいました。ここへ来て自民党側の責任者である茂木幹事長への不信感がさらに募っているようです」(同)
このデスクが「さらに」と言ったのは、茂木幹事長と公明・学会側との距離が大きく広がったままだからだそうだ。
「ざっくり言うと去年の参院選における相互推薦での行き違いが大きかった。相互推薦とは2016年の参院選から本格的にスタートしたものです。参院選には1人区と複数区とがあり、公明が擁立しない1人区では自民を支援し、その代わりとして公明が擁立する複数区では自民から推薦を受けるというやり方です」(同)
公明党の支持母体である創価学会は選挙の際に実力を発揮するというのは定評である。がその彼らにとっても2021年秋に解散総選挙があったばかりなのに、1年も経たないタイミングでまた参院選、となると組織をフル稼働するのはかなりハードなことなのだという。
蛇蝎のごとく嫌われ
ここで公明党が茂木幹事長に不信感を抱く理由があった。
「公明としては早めに選挙協力の詳細を固め、選挙に走り出したいと自民側に伝えてきたのですが、自民の茂木幹事長がなかなか結論を出さなかった。その後、公明側は態度を硬化させ、山口那津男代表は会見でも相互推薦の見送りもちらつかせていました」(同)
その後、岸田文雄首相と山口代表とが会談し、最終的に相互推薦は一部を除き完了。表向きは協力体制が整ったかに見えていたのだが……。
「あれ以来、茂木幹事長は公明・学会から蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われています。嫌がらせのように話をまとめなかったことに怒り心頭というわけです。実際、茂木幹事長の背後には麻生太郎自民党副総裁がいて、2人は公明・学会側とは微妙な距離を取るというスタンスを共有していたと聞いています」(同)
つまり、自公の蜜月関係の維持を絶対視しないというところか。相互推薦での結論先送りは、そのスタンスに基づいた行動だったということになるだろうか。
[1/2ページ]