男女ともに平均寿命日本一「川崎市麻生区」は何がスゴい? ワースト1位の自治体は?

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ワースト1位は…

『長生きできる町』の著者で、千葉大学予防医学センターの近藤克則教授は言う。

「麻生区は公共交通機関が発達し、車がなくても生活しやすい。緑や公園も多い地域では歩く機会が多くなります。また比較的経済的に余裕のある世帯が多い点も影響を与えているのでは。米国では、世帯収入が低い地域にはファストフード店などが多いのに対し、健康に良い生鮮食品などが置いてある店は少ないといいます。麻生区は、食環境も良い可能性が高いと思います」

 地獄の沙汰も……というわけだが、その指摘は今調査にもはっきり表れ、男性73.2歳、女性84.9歳と共にワースト1位となったのは大阪市西成区。男性に限って言えば、20年以上最下位のままなのだ。

喫煙率の高さ、健診受診率の低さ

 西成区はドヤ街「あいりん地区」を抱えるなど、全国的にも生活保護率が極めて高い地域。

 同区の保健福祉課・鶴見真由美保健担当課長に聞くと、

「他の区に比べ喫煙率が高く、また健康診断やがん検診などの受診率は低い。こうした要因が積み重なっているのではと思います。実際、今回の結果でも男性は前回に比べて寿命を下げていますし……。要因がさまざまで、対策はなかなか難しいですね」

 ちなみに男性のワースト10の自治体を見ると、大阪市の浪速区、生野区と続き、残りは青森県の自治体で占められる。青森が“早死に”なのは、カップ麺やインスタントラーメンの消費量が日本でトップクラスなど食習慣に課題があり、また冬は雪に閉ざされて運動不足になりがちだからといわれている。ともあれ、長生きの秘訣(ひけつ)は環境と経済――今回の調査結果を見ても、結局はそうしたシンプルな結論に落ち着きそうである。

週刊新潮 2023年6月1日号掲載

ワイド特集「サミットで『すべる話』」より

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