武尊が“7代目”襲名 「佐山聡」が築いた「タイガーマスク」のイズムが継承され続ける理由(中川淳一郎)

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タイガーマスク活動が続く社会に

 こうしていい話をしてきたのだが、最後にトホホな話を。私がかつて所属していたHWWA(一橋大学世界プロレスリング同盟)の提携団体・MWF(武蔵野美術大学プロレスリング夢☆ファクトリー)には「5代目タイガーマスク」という選手がいた。初代と同じコスチュームで登場したが、あんこ型体型ながら、俊敏な動きをするレスラーで子供達からの人気は絶大だった。この選手をフォールしようとすると、巨大な腹を膨らませ、相手はゴロゴロと転がり落ちてしまうという技が人気だった。

 今回7代目が登場したということで、もしや5代目としてあいつは認められていたのか! と一瞬思ったのだが、ンなわけはなかった。2010年に登場した5代目はミノワマンだった。すると、元5代目は離れ業をやってのけていた。その年に武蔵野美術大学で行われた試合ではリングネームを「6代目」に替えたのである! まさにインチキ万歳を謳うHWWAスタイルだが、私としてはこのインチキ〇代目が15代目ぐらいになるまで、武尊が引き継いだタイガーマスク活動が続く社会になればいいと思っているのだ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。最新刊に『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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