武尊が“7代目”襲名 「佐山聡」が築いた「タイガーマスク」のイズムが継承され続ける理由(中川淳一郎)

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 K-1の元世界3階級王者・武尊(31)が、5月24日、「7代目タイガーマスクプロジェクト」記者発表会で、7代目タイガーマスク襲名を発表した。会見には初代タイガーマスクの佐山聡氏も同席し、武尊の人間性の素晴らしさを絶賛。新しいマスクを武尊に手渡し、2人でマスクをかぶってツーショットを披露した。同プロジェクトは養護施設の子供達を支援することを目的とし、武尊は今後、佐山氏の活動を継承することとなる。武尊がタイガーマスクをかぶってプロレスのマットに上がるというわけではない。

生き恥

 とはいえ、6月24日にはフランスでの格闘技イベントに登場するが、1日に行われた公開スパーリングではタイガーマスクが得意としたローリングソバットも披露した。会見で武尊は佐山氏の試合を見て憧れを覚えていたと語ったが、一方の佐山氏は、ショー的要素が強かったタイガーマスクでいることを「生き恥」とまで過去の著書で述べている。

 実際、佐山氏は格闘技を追及すべく新日本プロレスを脱退し、自身の格闘道場を立ち上げた。その後はUWF参戦、修斗立ち上げ、掣圏真陰流創設など格闘路線を深めていったが、その間にもプロレスには携わっていた。それだけタイガーマスクの価値は分かっていたのだろう。タイガーマスはこれまでに佐山氏、三沢光晴、金本浩二、4代目(正体明かさず)、ミノワマン、藤原敏男の6代が引き継ぎ、武尊が7代目ということになる。

 佐山氏の心の動きについては『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』(田崎健太著)に詳しいが、佐山氏は確かにタイガーマスクでいることを嫌がっていた。三沢も金本も正体を明かした。しかし4代目は自分の本名を明かさず、5代目と6代目もすでに実績のある選手がマスクを着けた。武尊に至ってはK-1の至宝である。そんな選手が進んでマスクを着け、その脇には佐山氏もいる。

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