横尾忠則の「未完成品」1万8千点から250点を厳選! メモや下書きが見られる“異色”の展覧会
「とても一人の作家の作品展とは思えないはず」
展覧会に出品されるとなると、フツーは完成した作品。だが、ここで目にするものは……。現在、東京都中央区の「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」では、芸術家・横尾忠則氏(86)の手掛けた作品の、完成までの製作過程が分かる一風変わった「横尾忠則 銀座番外地 TADANORI YOKOO MY BLACK HOLES」が開催中だ(6月30日まで)。
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今回の企画を担当した北沢永志さんは、こう話す。
「当初はポスター展を考えたのですが、過去にも横尾作品を展示したので、従来とは違った形にすることにしました。半世紀前に作ったすべての作品の下書きやノートなどが保存されていると知り、それなら横尾さんの表現のプロセスを洗いざらい世に出してみようと考えたのです」
ポスターや雑誌、レコードジャケット、Tシャツといった“完成品”のためのデッサンやドローイング、はたまた印刷所に送る際の色指定紙、版下などなど……。横尾氏が保管していた、約1万8千におよぶ製作途中の作品群のなかから、1960年~80年代にかけての約250点を展示している。
「仕事の幅の広さや速さが伝わるのと同時に、作品作りがいかにルールに縛られないスタイルか、その奔放さが手に取るように分かっていただけることでしょう。とても一人の作家の作品展とは思えないはずです」(同)
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