ミスチル“桜井和寿”が憧れた伝説のボーカリスト「ROGUE・奥野敦士」 “車イス”で駆け抜けた「不屈のライブ」10年の軌跡
「今の奥野の声のほうが好きなんだ」
GBGBは単なる音楽イベントではなく、「福祉の充実とバリアフリーの拡充」を目的に掲げている。収益で身体障碍者用の福祉車両を購入し、県内の各自治体の福祉協議会に10年間で計8台を寄贈してきた。「GB号」の愛称で知られるこの車両は、電話で予約すれば誰でも格安で借りることができる。その趣旨に賛同して、これまでMr.Childrenをはじめ、布袋寅泰、氣志團、Dragon AshといったそうそうたるアーティストがGBGBに参加してきた。
奇跡の再結成から10年。6月1日で還暦を迎えたばかりの香川に、最後のGBGBを迎える感想を聞いてみた。
「若い人たちが、別の形でGBGBという名前だけでも受け継いでくれたらいいよな。別に大きなハコで大きなイベントをやる必要はないんだ。最初にグリーンドーム前橋でやったのだって、当時は奥野が入れるバリアフリーの会場がそこしかなかったというだけ。別に小さなライブハウスでもいいし、“GBGB運動会”でも“GBGBバーベキュー大会”なんでもいい。会場に小さい募金箱を置いて、寄付を募るだけでもいいじゃん。“福祉のため”という精神さえ受け継がれれば、誰がGBGBの名を冠したイベントを開いてもいいと思う。もちろんGBGBの看板で詐欺とかやるのはダメだけど(笑)」
香川自身にとっては、再結成からの10年間はどんな意味があったのだろうか。
「事故に遭う前と後で、奥野の歌声はやっぱり変わったと思う。でもオレはさ、今の奥野の声のほうが好きなんだ。解散した時のケンカの理由なんて、もう忘れたよ」
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