渡辺徹さんが時代劇で残した足跡 大河ドラマでは6作品に出演、近年は悪役も
「感想を聞かせて」
向井理・主演の「そろばん侍 風の市兵衛」(NHK・18年)。今でいう経営コンサルタントのような仕事をする市兵衛(向井理)は、派遣された醬油問屋で運搬船を使った不正の事実をつかむ。その指図をしていたのが、店の頭取・伊右衛門(渡辺)だった。奉公人たちを支配し、命を狙われる市兵衛たちを冷たく見つめる伊右衛門。今までとはまったく違うイメージで、こんな顔もあるんだと面白かった。
思えば、渡辺が「はんなり菊太郎」に出演していた頃、私は名古屋の放送局の情報番組(司会・内藤剛志)に出る機会があり、メインゲストの渡辺と初めて直接話をした。楽屋で挨拶をした際、私が時代劇について書いていると知ると、「時代劇は俳優にとって学ぶことがたくさんある」「ぜひ出演作の感想を聞かせてほしい」と愛嬌たっぷりの笑顔で言われたのだった。肘を曲げて拳を顔の横にする、あの決めポーズもバッチリ見せていただいた。
伊右衛門、よかったですよ! 時代劇の悪役はずっと足りないと言われているので、もっともっと出てください!!
ついに伝えることができなかった。悔いが残る。