渡辺徹さんが時代劇で残した足跡 大河ドラマでは6作品に出演、近年は悪役も

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主人公の相棒役も

 最後の大河作品となった21年「青天を衝け」では、仲間と横浜焼打ちを企んだ若き渋沢栄一(吉沢亮)が相談に訪れる武器商人・梅田慎之介役だった。血気盛んな若者の姿を見守る慎之介を演じながら、突っ走ってきた若い頃の自分を思い出していたかもしれない。

 大河ドラマ以外の時代劇では、主人公のよき相棒役が多かった。

 藤沢周平の「用心棒日月抄」などを原作にした「腕におぼえあり」(NHK・92〜94年)のシリーズでは、藩内の陰謀に巻き込まれ江戸で用心棒稼業を始めた青江又八郎(村上弘明)の仲間・細谷源太夫役。細谷は5人の子持ちでいつもピーピー言っている。その後、同じく藤沢の「闇の傀儡師」を原作にしたNHKの正月時代劇「風光る剣~八嶽党秘聞」(NHK・97年)にも出演。剣の達人ながら筆耕仕事で細々と暮らす鶴見源次郎(中井貴一)の親友で五百石取りの旗本ながら浮世絵を描く変わり者の細川役だ。2人は徳川に遺恨のある謎の八嶽党と戦うことになる。堅物の主人公は、渡辺演じる友人と関わることで世の中について学ぶのだ。

 さらにもう一作、忘れられないのは、「はんなり菊太郎~京・公事宿事件帳~」(NHK・02年、04年、07年)だ。

 主人公は京都町奉行所の同心頭の家に生まれながら家出して7年も行方不明だった田村菊太郎(内藤剛志)。ぶらりと京都に戻った菊太郎は、親友の源十郎(渡辺)が営む公事宿・鯉屋に居候しながら、持ち前の推理力と剣の腕で弟の捕物を手伝ったり、公事宿に持ち込まれる難事を飄々と解決していく。源十郎は、妾腹の長男である菊太郎が正妻の子である弟に跡を継がせるため家出したという事情を知り、ニコニコと彼を受け入れる。菊太郎が悪人たちを相手に大暴れをしても、「ちょっと取り込みで……」などと彼を守り、いざとなると自分も羽織を巧みに使って助太刀までする。菊太郎は好きな女(南果歩)にも素直になれず、どこか子供っぽいが、源十郎は妻帯者で商売もしっかりした大人。なかなかカッコいい役だ。

 近年は悪役という新しい顔も見せていた。

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