「シン・仮面ライダー」密着ドキュメンタリー、劇場公開がお蔵入りの理由とは? 「庵野さんサイドの申し出」
満を持して公開されたこの映画の“舞台裏”をのぞきたいファンも多いはず。しかし、ショッカーの陰謀でもあるまいが、劇場版がお蔵入りになってしまったという。悪の組織と戦う仮面ライダー、一大事である。
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人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの生みの親にして、最近ではその完結編となる「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や「シン・ウルトラマン」でヒットを飛ばした庵野秀明監督(63)は大の仮面ライダーファンとしても知られる。
その庵野監督の最新作が「シン・仮面ライダー」(配給・東映)である。だが、いざ3月に公開されると、あまりに暗すぎる内容に「がっかり」と嘆くファンの間で、賛否両論渦巻いた。
そうした声を反映したのか、興行収入も振るわない。4月末には20億円を突破し、「仮面ライダー映画史上の最高記録」と喧伝されるも、現在はどこの映画館も閑古鳥が鳴く。大ヒット中の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が興行収入100億円を突破したのと比べると、あまりに物足りないのである。
「アメコミ映画とも勝負できるのに…」
「私は仮面ライダーを観て育った世代ですが……」
と解説するのは、評論家の切通理作氏。
「アクションのカット割りなど、『仮面ライダー』にオマージュを捧げたかのようなシーンが随所に見られ、ファンにはうれしい映画でした。ただ、気になったのは、仮面の下にある人間の感情の中でストーリーが終始していること。不条理な社会で正義を問う世界観の広がりがあれば、アメコミ映画とも勝負ができるのに……、と感じました」
実は別の意味で反響を呼んだのが、3月31日にNHK BSプレミアムで放送された密着ドキュメンタリーだった。
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