ティモンディ 高岸宏行の活躍ばかり目立つ一方、相方・前田裕太の深謀遠慮

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「やればできる!」は空虚なお題目ではない

 前田は天性のアタッカーである高岸の潜在能力を最大限に引き出すために、自分はあえて一歩引いて、精密なパスを出すことに徹している。そんな前田の若手離れした状況判断力があったからこそ、ティモンディはデビューしてすぐに売れっ子になることができた。

 前田は、自分たちが芸能人として売れて、高岸に始球式で投げさせることを目標に掲げていた。その目標が実現したとき、マウンド上で高岸は涙をこぼしていた。一方、そんな高岸の様子を見守る前田ももらい泣きをしていた。

 高岸の決め台詞「やればできる!」は空虚なお題目ではない。ティモンディの2人はそれぞれが高い意識を持って目標に向かって突き進み、それを実現させてきた。彼らはいつでも本気なのだ。

 前向きな生き方の極意は、絶対にできると信じること。そして、できるまでやり抜くことだ。プロ野球選手と芸人の二足のわらじを履くことになった高岸は「信じること」と「やり抜くこと」の二刀流でもあるのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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