「台湾チアガール」はまるでアキバ系アイドル “写真集”発売に「韓流ダンサー」加入で球場も熱狂

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歓声が沸き上がる“ディスコタイム”

 筆者個人としては、5月に日本で写真集が発売されたリン・シャンを映像に収めたかったものの、あいにくこの日は、LAのエンゼルスタジアムの台湾ウィークのイベントとして、大谷翔平の前でパフォーマンスをするため、出張中だった。そこで、人気急上昇中のイ・ダへや、籃籃(ランラン)などを中心にカメラを向けていたのだが、なるべく近くで撮ろうとすると「おい、撮れないじゃないか」と、殺気だったファンたちに注意された。記者証を持っている筆者であっても、彼らが狙いを定めるチアのアングルを遮断されることは、許されぬことだと身をもって感じた。

 袋叩きにされる心配もあったので、カメラを向けるファンたちに注意を払いつつの撮影だったが、チアガールたちが間近にいるその現場の空気は、何やらライブ会場にいるような感覚でもあった。

 投手交代でブレイクタイムが長くなる時、歓声が湧き上がったので、何事かと思って大型スクリーンに目を向けると、韓国のイ・ダヘが単独でディスコダンスを披露し始めて盛り上がっていたのだった。隣のチアガールもそれに続き、激しい腰使いのパフォーマンスで対抗していた。

 最終回にも、さらに高いお立ち台が設けられてダンスタイムが盛り上がるなど、バリエーションも工夫されており、野球観戦はともかく、チアガールのダンスだけでひとつのショーイベントを満喫した気分に浸れた。

チアガールが観客動員のカギに

 筆者は、この楽天モンキーズの試合に先駆け、新北市新荘球場に本拠地をおく富邦ガーディアンズの試合にも訪れていた。そこには「Fubon Angels」が所属していた。観客は平日とあって、やや少なめだったが、チアガールのいる内野席だけは大方が埋まっており、カメラを構えた熱狂的なファンが張り付いていた。やはりチアガールありきの観客動員なのだ、というのはどこの球場も一致していたのだった。

「Fubon Angels」チアガールメンバーは総勢13名。1、3塁ベンチ上に並ぶのが誰なのか、名前と顔を一致させることがひと苦労だった。

 さて、現在の台湾プロ野球は5球団で、台南を拠点にする、統一7ELEVEnライオンズには「Uni-girls」、台中を拠点にする中信兄弟には「Passion Sisters」、台北天母などを拠点にする味全ドラゴンズには「小龍女」と、チアガール軍団はコスチュームなどにも工夫をしながら、ファンの心をつかもうとパフォーマンスに励んでいる。2024年には高雄を本拠地にする「台鋼雄鷹(ホークス)」も加入、もちろんチアチームがもうひとつ増えるわけで、台湾球界はさらに「チアガール王国」として台湾版アキバ系アイドル路線を深めていくことになるのか、楽しみが増える。

広橋賢蔵(ひろはし・けんぞう)
台湾在住ライター。1965年生、1988年北京留学後、1989年に台湾に渡り「なーるほどザ台湾」「台北ナビ」編集担当を経て、現在は台湾観光案内ブログ『歩く台北』主宰。近著に『台湾の秘湯迷走旅』(双葉文庫)などがある。

デイリー新潮編集部

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