PGAツアー“予選落ちなしの大会”が批判を浴びるワケ かつてリブゴルフを批判した矛盾も露呈
ノーカット大会に変更する理由
今年2月のA・パーマー招待の開幕前、PGAツアーは理事会を開催、2024年から「格上げ大会」のうち8試合で、出場選手の人数を60~80名に絞り、予選カットを行なわない4日間72ホールのノーカット大会とすることを決めた。
今年から開催されている「格上げ大会」は、メジャー4大会を除くと現時点で12大会ある。「そのうちの8試合」がどの大会になるのかはまだ発表されていないが、レガシー3大会はノーカット大会となる8試合に含まれると見られている。
しかし、今週のメモリアル開幕前の会見でニクラスは、自身の大会では「予選カットは絶対に行なうべきだ」と強く主張した。その最大の理由は、観戦に訪れる「ギャラリーのためだ」と言う。
「予選カットを廃止すると、出場選手の人数をあらかじめ70名前後に絞ることになる。しかし、入場券を買って試合会場へ足を運んでくれるゴルフファンは、せっかく来たのだから1日中いろんな選手のプレーを眺めていたいはずだ。その希望を満たしてあげるためには、出場選手の人数は多いほうがいい」
実際、ニクラスは、かつて105名に設定されていた同大会の出場枠を途中で120名に増やし、その言葉通りギャラリーの楽しみを増やした実績がある。
4日間を予選2日間と決勝2日間に分け、予選2日間は大勢の選手で賑わう状態にしたいという「帝王」の主張には一貫性がある。
ザ・ジェネシス招待の大会ホストであるウッズも、ニクラス同様、「予選カットは絶対に必要だ」と主張している。ウッズはすでにPGAツアーからの2024年大会をノーカット大会に変えるという通達を「突き返して、拒否した」と米メディアは伝えている。
ウッズが予選カットを必要だと考える根拠は、ニクラスとは少々異なる。
「振るわないゴルフ、不調のゴルフには、それなりのペナルティが与えられて然るべきだ。何の罰もないとなれば、選手は素晴らしいプレーをしようという意欲が沸かなくなる。ゴルフは好調と不調の両方が伴うものなのだから、必ずしも出場選手全員があらかじめ72ホールをプレーすることを約束される必要はない」
ウッズには、ザ・ジェネシス招待の出場枠を、ニクラスとは逆に156名から120名へ減らした実績がある。だが、それは「選りすぐりのプレーヤーを集結させたい」というウッズの意向に基づいており、彼の言葉を借りれば、選りすぐりの120名の中で不調のゴルフをした選手には予選落ちという「ペナルティ」を科し、さらに選りすぐられた70名前後の選手たちに決勝2日間を沸かせてほしいという願いの表れなのだ。
予選カットなしのリブゴルフを批判していたはずが…
ニクラスは「ファンやギャラリーに楽しんでもらうため」、ウッズは「選手の向上心や戦意を高めるため」と語っているが、いずれにしても「出場人数は120名は必要」「予選カットは絶対に必要」と主張し、ジェイ・モナハン会長率いるPGAツアーの決定に異論を唱えている。
今年からPGAツアーに賞金総額2000万ドル級の「格上げ大会」が創設されたことで、昨年まではレガシーと呼ばれてきた3大会も「格上げ大会」に引き込まれた。レガシーも他の大会も「みな同じ格上げ大会」という横並びになり、かつての特別感が薄れてしまった感は否めない。
そのことに対してはニクラスもウッズも異論反論は唱えなかったのだが、「来年からは出場人数を絞り、予選カットはなし」という通達には、さすがに黙っていられなくなったのだろう。
モナハン会長は、リブゴルフが創設された当初、「予選カットなしで賞金がギャランティされているトーナメントは競技ゴルフではない」と激しく批判していた。
だが今では「予選カットを廃止すれば、ファンは4日間、トッププレーヤーのゴルフを楽しむことができる。そして、グッドプレーヤーが自ずと集まってくる」と自信満々に主張。選手会を率いるロリー・マキロイ(34)も、モナハン会長の言葉に頷いている。
だからこそ、来年から8試合で予選カットを廃止することが理事会で承認されたわけだが、8試合のうちの2試合の大会ホストが異論を強く唱え始めた今、PGAツアーの内部には不吉なトーンの不協和音が広がっている。
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