音楽で喜怒哀楽を表現するのは邪道だった――そもそも音楽は何のために作られていたのか
音楽は人間の感情を表現する芸術である――こう言うと、誰もが「そんなのは当たり前だ」と思うのではないだろうか。
しかし、音楽史をひもとくと、音楽で人間の喜怒哀楽を表現するようになったのは近代以降のこと。それまでは、音楽は神に奉納するものであって、人間が聴いて楽しむためのものではなかったという。
では、いつ、どのようにして、音楽が人間の感情を表現するようになったか。岡田暁生さんと片山杜秀さんの対談本『ごまかさないクラシック音楽』(新潮選書)から、一部を再編集してお届けしよう。...