青柳晃洋に「第二の藤浪」を危惧する専門家の声 指揮官とソリが合わなければ退団…虎エースの“黒歴史”
“適度な荒れ球”を失った藤浪との共通点
「今年の制球面にはそれが表れているように感じる。青柳は本来、適度に荒れる球が持ち味だったが、変に制球がまとまっている。バッテリーを組む捕手がベース板を広く使うリードが特長の坂本(誠志郎)ではなく、梅野(隆太郎)だった影響はあるのかもしれないが、それにしてもストライクがそろい過ぎる。敵ではなく、味方のベンチと勝負していたのか、三塁側に流れるフォームの狂いを含め、精神的な不安定さ根底にあるように思えてならない」(元パ・リーグ球団捕手)
阪神でルーキーイヤーの13年から3年連続2桁勝利を挙げた藤浪も、荒れ球が武器だった。160キロ級の速球が時に右打者にシュート回転してくるなど、投げている本人さえ分からない荒れ方は相手に脅威を与えてきた。
しかし、16年に金本知憲監督が就任すると、キャリアは暗転する。同年、あまりに有名になった161球での“懲罰完投”に象徴される、昭和のにおいがした金本流が肌に合わなかったことが契機となったように、MLB移籍した今に至るまで制球難と格闘している。
「藤浪の場合は今の青柳とは逆で、荒れ球が打者の背中を通るほどの『暴れる球』になってしまった。ただ、適度なばらつきを失う意味では両者は似ている。青柳も長所を失わなければいいのだが……」(元捕手)
“逆ピグマリオン効果”への危惧
青柳を復調させるため昨季、コンビを組んでいた坂本に捕手を代える手はある。不調の西勇輝と同様、梅野より坂本の方が持ち味を引き出せるとの見方は根強い。しかし一方で、捕手を選ばないのもエースである。
「(今季開幕から)梅野から坂本に代えなかったのも、岡田監督にエースたるもの捕手にこだわるなとの思いもあったからだろう。それはもっともだが、気になるのは岡田監督が醸成するチームのムード。阪神は今、隅々まで岡田監督の意向が反映されているようだ。岡田監督が青柳の力を疑問視し、それを本人が感じ続けるようだと、1軍に復帰しても復活し切れないことはあり得る」
前出のNPB球団元監督は、いわば“逆ピグマリオン効果”を危惧する。
プロの世界で各自の実力は紙一重である。監督の交代で台頭する選手もいれば、その逆もある。果たして青柳は今後、どのような道を歩むのか。振り返ると実は今、阪神でのキャリアの分岐点に立たされているのかもしれない。
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