「まずは塩で」ブームから陳腐なフレーズへ 江戸っ子の家生まれのライター・古賀及子が語る裕福な祖母との思い出

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“高級な場所だ”と子どもながらに感心

 ウェブメディア「デイリーポータルZ」の編集部員で、『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』の著者の古賀及子さん。江戸っ子の家に生まれながら、都心を離れて暮らした彼女が、幼い頃に目に焼き付けた「東京」の風景とは。

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 母方の実家が港区の赤坂で、祖父母はどちらも4代続く江戸っ子をうたって粋がる愛しいひとたちだった。反動で母が郊外に憧れたものだから、私は東京で生まれこそはするも早いうちから都心を離れ育った。よく盆暮を母の帰省に連れられ赤坂で過ごし、クラスメートから「田舎のおばあちゃんの家に行く」と聞くたび、うちの田舎は都会だなと、地方へ帰る典型的な帰省とくらべて人ごとのように珍しがっていた。...

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