「セイコーエプソン」時計部門の失敗 原因は“雇われワンマン”の「セイコーグループ嫌い」

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セイコーウオッチと競業

 碓井氏の社長就任後間もなく、セイコーエプソンはTOB(株式公開買い付け)でオリエント時計の全株を取得し、ウオッチ事業部に組み込んだ。

「それまでセイコーエプソンは、セイコーグループ傘下の“セイコーウオッチ”向けに時計の開発、製造をするだけでした。しかし、オリエント時計の完全子会社化以降、独自で時計の販売を始めた。社名にセイコーを冠しながら、セイコーウオッチと競業するようになったわけです」

 碓井氏の念頭にあるのは、セイコーグループに搾取されているという歪んだ被害者意識だった。

「セイコーウオッチが“世界初”と謳う技術はセイコーエプソンが開発したものばかりです。クオーツ式時計しかり、機械式時計とクオーツ式時計のハイブリッドシステム“スプリングドライブ”しかり。大谷翔平選手をイメージキャラクターに起用した“GPSソーラーウオッチ”も同様です。技術畑出身の碓井さんは親会社でもないセイコーグループにいいように利用されているという気持ちが強かったはずです」

「週刊新潮」2023年6月1日号「MONEY」欄の有料版では、碓井氏の「セイコー嫌い」によって生じた弊害を詳報する。

週刊新潮 2023年6月1日号掲載

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