【らんまん】東京編に入って視聴率上昇中 万太郎にとっての竹雄はドラえもんか

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 5月8日の第26話から東京編になった、NHK連続テレビ小説「らんまん」の視聴率が好調だ。土佐編は個人8%台(世帯15%台)が中心だったものの、東京編は個人9%台(世帯17%台)も記録する。人気浮上の立役者は主人公・槙野万太郎役の神木隆之介(30)にほかならないが、万太郎のお供・井上竹雄を演じている志尊淳(28)の存在も大きい。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

青春記は人気になりやすい

 東京編は万太郎の青春記でもある。万太郎は1882(明治15)年、20歳の時に上京し、下町・根津の十徳長屋に住み、東京帝国大学(現在の東京大学)の植物学教室に出入りするようになった。

 思いを寄せていた17歳の少女・西村寿恵子(浜辺美波・22)とも再会し、恋愛感情が高まる。寿恵子と母・まつ(牧瀬里穂・51)は同じ根津で菓子店「白梅堂」を営んでいた。

 視聴率上昇の理由の1つは「青春記効果」ではないか。青春記の主人公は純粋で多感、さらに行動的であり、一方で多少の脱線も許される。特別な時期だ。ストーリーが面白くなりやすく、いつの時代も人気がある。

 青春記の小説には北杜夫の『どくとるマンボウ青春記』(1968年)や浅井リョウの『桐島、部活やめるってよ』(2010年)など、数々のベストセラーがある。この朝ドラの脚本を担当する長田育恵氏(46)の師匠だった故・井上ひさし氏が書いた『青葉繁れる』(1973年)もその1つだ。

 万太郎の青春記はほろ苦い。大抵の青春記がそう。明るいばかりではない。まだ世間を知らず、根拠のない自信に満ちている少年・少女期とは違う。

 万太郎は東京帝国大学の田邊彰久教授(要潤・42)に土佐での植物採集の成果が認められ、植物学教室への出入りと資料などの閲覧を許される。

「私は君を歓迎する」(田邊、第33話)

 だが、世の中は自分にやさしい人ばかりではない。それを思い知らされるのも青春時代から。権威主義が服を着ているような徳永政市助教授(田中哲司・57)からは忌み嫌われる。万太郎が小学校中退だからだ。講師や学生の大半もそうだった。

 疎外感を味わった万太郎は、一緒に上京した竹雄に向かって泣き言を口にする。

「大学は植物学を目指す人らがおる。憧れた。夢の場所や。けんどのう、淋しいんじゃ」(第38話)

 12歳で小学校を中退した(第10話)ことも後悔したことだろう。もっとも、竹雄はちっとも同情しなかった。

「それがなんですか?」(同)

 確かにそうである。万太郎は造り酒屋「峰屋」の跡取りの座を放り投げ、祖母のタキ(松坂慶子・70)から金を貰い、土佐を離れた。東京での勉強を強く望んだ。小学校だって自ら辞めた。自分の思い通りに生きているのだから、「淋しい」くらいでは同情されない。

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