【自公決裂の深層】後援会名簿の提出、自民候補をランク付けでトラブルも…元公明党議員が語る“選挙協力への本音”

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落選させる能力

 自民党側も選挙協力を行うと思わせておいて、公明党の候補者を“裏切る”ことも珍しくないという。

「公明党の国会議員がベテランだと、自民党側とも旧知の関係です。自民党もいつも通りに支援してくれます。ところが高齢化などが原因で新人の候補者に変わったりすると、経験不足を理由に自民党側の選挙支援が冷め、落選してしまうこともありました。学会の支援者が自民党をどこまで支援するかは人によって温度差がありますが、自民党の支援者も全く同じなのです」(同・元議員)

 学会側は自民党の候補者を、A、B、Cの3段階にランク分けをするという。Aが最も熱心に応援し、Cはおざなりな応援。そして圏外のDがあり、こちらは意図的に落選させる場合を指すという。

「自治大臣を経験した自民党の白川勝彦さん(1945~2019)は90年代、『反創価学会キャンペーン』の中心的人物でした。1999年に自民と公明が手を組むと、学会サイドは白川さんをDとしました。そして2000年に行われた総選挙で学会票は対立候補に流れ、白川さんは落選してしまいました」(同・元議員)

キャスティングボート

 各選挙区で、公明=学会は約2万票を持っているという。党勢の先細りで「当選させる能力」は年々減少しているかもしれないが、「落選させる能力」は今も健在だという。

「自民党の国会議員といっても、選挙に強い人ばかりではありません。学会票がないと勝てない議員も相当な数に上ります。例えば、2021年の衆院選で東京8区から出馬して落選した石原伸晃さん(66)は、今回の決裂を苦々しい想いで眺めているかもしれません。再当選を果たすためには、学会票は是が非でも必要でしょう。確かに自公は、水面下で様々なトラブルを抱えながら連立政権を維持してきました。それは公明がまさにキャスティングボートを握っているからです。一部のメディアは『自公決裂か』と報道していますが、お互いに様々な不満を持ちながら連立は続いていくと見ています」(同・元議員)

 朝日新聞デジタルは5月30日、「自民、埼玉14区と愛知16区で擁立見送りへ 30日に公明に伝達」の記事を配信し、YAHOO!ニュースがトピックスに転載した。

 記事では「東京での選挙協力解消が他の地域にも波及するとの懸念が高まっており、埼玉、愛知での候補者擁立見送りを打ち出し、公明の軟化を引き出すねらいがある」と報じている。

デイリー新潮編集部

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