長野4人殺人事件、なぜ警察は“猟銃男”を「射殺」しなかったのか 「前例踏襲が第一で、狙撃など念頭になかった」

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「狙撃など念頭になかったのでしょう」

 それがかなわなかったのは、現場の県警捜査1課長と、最終判断を下す本部長の優柔不断が原因だというのだ。

「重大な立てこもり事件の際には、SITやSATを派遣する前にまず、警視庁と大阪府警にのみ置かれている警察庁指定のサポートチーム(タスクフォース)が現地に赴いて状況を見極めます。彼らは早期突入の具申もしているはずですが、今回は本部長判断が遅かったと思わざるを得ません」

 実際に長野県警関係者は、

「自宅に複数の銃がある可能性もあり、県警による説得の電話は明け方まで複数回、行われていました。ところが男はこれを拒絶し、最後は父親に依頼せざるを得なかった。午前4時過ぎの通話で、男は父親に『どうしたらいい』と尋ね、父親が『警察に行くしかない』と促してようやく解決につながったのです」

 とはいえ、犯人は身勝手な妄想で地域社会を恐怖のるつぼへと投げ込んだ。そんな対象は早期に“排除”、すなわち狙撃すべきではなかったか。今回の母親と伯母が「人質」であるかはさておき、国内の人質事件で、犯人射殺で解決したケースは1979年1月、大阪の「三菱銀行人質事件」が最後である。さる警察庁OBが言う。

「父親が市議会議長である上に説得を試みており、また県警本部長は言うに及ばず警察庁幹部にも断を下せる人材がいない。さらに大前提として警察幹部は前例踏襲が第一。こうしたことから、実際には狙撃など念頭になかったのでしょう」

 6月1日発売の「週刊新潮」では、政憲容疑者を“豹変”させてしまった大学生活や、地元に戻ってきてからの様子など、知られざる素顔について詳報する。

「週刊新潮」2023年6月8日号

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週刊新潮 2023年6月8日号掲載

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