キャセイ航空 中国乗客「差別事件」で“謝罪4度”と“CA解雇”でも炎上し続けた裏事情

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中国メディアの“過熱報道”と香港政府の動き

 投稿が点けた火は一気に燃え広がった。中国のネット上で「今に始まったことではない」「同じような経験をした」といった声が上がるなか、告発者に企業側から連絡が入る。23日午前までに、本件に関する幹部会議の開催と調査チームの設置を報告されたという。ここまでは素早い対応だったが、火の勢いはまったく収まらなかった。

 その理由の1つは、企業側の謝罪も批判を呼んだことだ。中国版Twitterの微博に投稿された最初の謝罪は、中国内地で使用される簡体字を使った短い声明文だったが、「中国内地のスタッフが尻ぬぐいしている」といった声が上がった。2度目の謝罪も不発に終わり、同日夜に3度目の謝罪とともに発表されたのが「客室乗務員3名の解雇」だ。さらに4度目の謝罪を、広東省の広州市でフォーラムに参加したCEOの林紹波(ロナルド・ラム)氏が、会見中に中国語で行う事態となった。

 もう1つの理由は、中国メディアの“過熱報道”と香港政府の動きである。政府系メディアもSNSや社説などで企業批判を展開する様は、まさに集中砲火。香港政府では、行政長官の李家超(ジョン・リー)氏や運輸及物流局(日本の運輸省に相当)のトップなどが本件にコメントし、企業側に改善を求めるなどと述べた。

 場外乱闘も発生していた。企業側の関係者と思われる人物たちが、告発者への批判文や「英語と広東語しか話せません」と“宣言”する動画をSNSに投稿したのだ。さらにはキャセイの「内部書簡」とされる文章も流出。「中国からの乗客と接する際は、中国のメディア文化が香港を含む世界の他の地域とは大きく異なる可能性があることに注意してください」という内容が含まれていたため、炎上の燃料となった。ただし企業側は、偽造文書であるとしている。

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