猿之助事件、映画の損害賠償は5億円以上? 「スーパー歌舞伎」は存続の危機
猿之助は今後、警視庁による取り調べを受け、何らかの罪に問われる可能性が高い。そのような状況下、すでに公開・公演が決まっている作品はどうなってしまうのか。
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【写真11枚】29年前、慶應大1年生だった猿之助。やはり現在とは雰囲気が全く違う
まず、関係者が最も気をもんでいるのが、6月16日の全国公開を間近に控えた映画「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」だ。猿之助は今作で、天海祐希(55)扮する刑事から取り調べを受ける、極めて重要な被疑者の役を演じている。
「映画の世界では近年、出演者が不祥事を起こしても、当初の予定どおり公開されるケースが増えています。客が自らの意思でお金を払って観に行く映画は、製作サイドがテレビほどスポンサーの顔色をうかがう必要がないからです。しかし、今作にかぎっては、そうは問屋が卸さないでしょう。捜査の進展次第では、猿之助さんの役どころが現実の事件の内容と重なり、作品がエンタメとして成立しなくなるからです」(スポーツ紙・映画担当記者)
巨額の請求も
公開延期となれば、代役を立てての撮り直しや、最悪の場合、お蔵入りもあり得るという。
「猿之助さんや天海さんといった一流の役者が出演する全国公開の映画では、製作費は3億円を下らない。それに広告宣伝費などを足せば、今作には計5億円以上の予算がかかっていると見るのが妥当です。お蔵入りになれば、巨額の損害賠償を請求されてもおかしくありません」(同)
配給を担う東宝に聞くと、
「まだはっきりとしたことが分かりかねるため、お答えすることができません」
歌舞伎座での公演「六月大歌舞伎」も6月3日からスタートする。猿之助は昼の部の「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」で同門・澤瀉屋(おもだかや)の市川中車と共演する予定になっているが、こちらについては、
「代役を立てて予定どおり公演が行われるでしょう。興行主の松竹が、すでに販売されている分のチケットの払い戻しに応じることはないと思います。普段から歌舞伎では病気などで役者が欠けた際、そのように対応しているからです。よって、猿之助さんが損害賠償を請求されることもないでしょう」(松竹関係者)
案の定、松竹の回答は、
「通常は、配役変更をいたします場合、払い戻しはお受けしておりません」
スーパー歌舞伎の存続自体が…
一方で心配なのは、来年の2月から3月にかけて新橋演舞場で予定されている公演「スーパー歌舞伎II 鬼滅の刃」だという。猿之助が出演ばかりか、総合演出も担っているからだ。
「澤瀉屋が、先代の三代目猿之助(現・二代目猿翁)時代から創り上げてきたスーパー歌舞伎は、猿之助さんがあってのものです。役者としての仕事とは異なり、替えが利かない。この先、世論が猿之助さんの芸能活動を許さなければ、スーパー歌舞伎の存続自体が危ぶまれます」(同)
身勝手な“心中”を図った代償はあまりにも大きかった。