借金生活に逆戻りの巨人、岡本和真のレフト起用はどうなのか【柴田勲のセブンアイズ】

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岡本和真のレフトはどうか

 岡本和真がその典型で、ボール球に手を出していた。1、2ストライク目の甘い球だけに狙いを絞ることが肝要だ。岡本はこの3連戦、11打数3安打で、いずれも単打、打点は0だった。

 言わせてもらうと岡本の左翼はどうかと思って見ている。中田翔を一塁で起用した場合、守備力のある門脇誠を三塁に入れて、岡本を左翼に回した。

 原監督は三塁の守備は、門脇の方が岡本よりうまいとの判断なのだろう。だが、岡本は昨年140試合に出場してゴールデン・グラブ賞を獲得している選手だ。

 私は中田を一塁に起用しても、岡本はあくまで三塁だと思う。足の故障を引きずっている中田が出塁したら、門脇を代走で使ってそのまま三塁に入れる。岡本は一塁にする。

 岡本の足では外野は無理だ。基本的に外野手は足が速くなきゃダメだ。左右に切れていく打球を追えない。これが吉川尚輝だったら足があって野球勘もいい。右翼ならそつなくこなせるのではないか。

 3連戦は「魔の8回」ではなく、「魔の7回」だった。前回も「7、8回あたりはこれからも苦労するのではないか」と指摘したがこれまたその通りになった。

 オリックスから移籍して来た鈴木康平、DeNAからの三上朋也にしてもそりゃ1、2回くらいは抑えられるだろうが、これが何度も続くかとなると違う。原監督はこういう選手を使いたがる。動いて勝ちたいのかもしれない。今は裏目に出ている。

交流戦に弱い巨人

 巨人のチーム防御率は12球団ワーストの4.01、先発陣は3.56、リリーフ陣になると4.79だ。阪神のチーム防御率は12球団トップの2.64、先発陣が2.91ならリリーフ陣は2.06、あまりにも対照的な数字だ。巨人はまず、これをなんとかしなくてはならない。

 阪神は打撃陣だっていい。特に1・2番コンビが好調だ。1番・近本光司は打撃30傑で6位の打率.319、2番・中野拓夢は同7位の.313だ。しかも近本は打点26、中野は21を挙げている。

 8番に入っている木浪聖也が8位と続いて打率.310だ。下位でチャンスを作って1、2番で結構モノにしている。大山悠輔、佐藤輝明も好調を維持している。

 阪神、5月は18勝だった。投打がガッチリかみ合っている。そりゃ、強いはずだ。

 30日からは交流戦だ。巨人は残念ながら弱い。過去7年間(中止となった20年を除く)で勝ち越したのは19年の11勝7敗のみで3位だった。この年はリーグ優勝している。昨年も8勝10敗と負け越している。

 おまけに最初の対戦相手は首位を走るロッテだ。それでも5月は12勝10敗と状態は上向いている。若手も台頭してきた。菅野智之の復帰も近い。

 早く5割に戻して首位戦線へ浮上のきっかけをつかんでほしい。数週間前と同じ締めの言葉となったが、交流戦では気持ちを切り替えて戦ってもらいたい。
 (成績は29日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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