血圧、血糖値、中性脂肪の低下を証明、運動と同じ効果も? 万能薬・お酢の知られざる効能とは

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風邪の予防にも

 ここまでお酢が調理場面で発揮する実力について見てきましたが、このようにお酢の健康効果は本当に幅広く研究されている。例えば、酢酸の摂取が風邪の予防につながることを実験用ラットで実証したデータもあるんです。動物実験段階なので人間に対して同様の効果が得られるかは分かりませんが、免疫力を高めるという意味では期待ができるかもしれません。

 また、近年はよく腸内環境のバランスを整えることの重要性が提唱されていますが、腸内細菌が作り出す酢酸は乳酸とともに大腸の中を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えるのに役立つことで知られています。

 ただ、酢酸は大腸の手前、小腸の上部でほとんど吸収されてしまうため、残念ながらお酢の摂取は大腸内の酢酸濃度を上げるのには効果がありません。大腸では善玉の腸内細菌が酢酸を産生していますから、彼らのエサとなる水溶性食物繊維を積極的に取ることが大切です。

 このように私たちが生きる上で酢酸は非常に重要な働きをしています。是非、お酢をうまく活用して健康で安心、そして何よりおいしい食生活を楽しんでみてください。

多山賢二(たやまけんじ)
広島修道大学元教授。1980年、山口大学大学院農学研究科修士課程を修了後、93年に東京大学で博士号取得。昨年、広島修道大学健康科学部教授を退任し、現在は県立広島大学などで非常勤講師を務める。酢酸菌やお酢の健康機能の研究に40年以上従事し、自身も約25年にわたってお酢の摂取を続けている。

週刊新潮 2023年5月25日号掲載

特別読物「『高血圧』『糖尿病』『肥満』予防だけではない 台所の“万能薬”『お酢』の美味しい調理術」より

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