「登記人が江戸時代生まれ」の家屋敷が騒動に 100人を超える相続権者、なぜ放置された?

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 埼玉県のJR川口駅から歩いて20分ほどの住宅街は、年の暮れにキツネが杉の葉を持って田植えのまねをしたという言い伝えがある。5年ほど前、その一角にある敷地約470坪の旧家に問題が持ち上がった。敷地を売却しようとしたら、続々と所有権者が出てきたのだ。

 売買に関わった不動産業者が言う。

「もともと、家屋敷は明治時代に当時の当主が相続をしたものです。年代からいって江戸時代に生まれた方でしょう。しかし、それからずっと、子孫の方々が相続登記をせずに放置してあったのです。私のところに相談が持ち込まれたのは120年以上たってからでした」

 わが国に登記法が制定されたのは1886年のこと。この家屋敷の登記簿には、その8年後に初めて登記されたとあるが、もちろん当主はとっくに亡くなっており、曾孫(ひまご)や玄孫(やしゃご)、さらにはその下の世代になっている。

「家屋敷を売るためには、相続権のある子孫全員登記をしなくてはいけませんが、登記簿には何も書いていない。私は子孫の一人から相談を受けて調べたのですが、戸籍などを追いかけて承諾が取れたのは権利者の3割ほど。仙台や愛知県にも子孫がいて、やりとりができない人などを入れると100人を超える相続権者がいることが分かってきたのです」(同)

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