まき割り用のおのでメッタ打ちにされた「片岡仁左衛門」一家… 血塗られた「梨園の暗黒事件史」
まき割り用のおのでメッタ打ち
さて、日本中を震撼させた最悪の事件が起こったのは、敗戦後まもない1946年。「十二代目片岡仁左衛門一家殺人事件」だ。
「仁左衛門、妻、息子、そして女中2人が殺されました」(演芸ジャーナリスト)
犯人は、仁左衛門宅に住み込みで働いていた座付き見習い作家だった。
「被害者はまき割り用のおのでメッタ打ちにされていたことから、相当な怨恨によるものだと考えられました。当時、近隣住民の証言や犯人の供述によって報じられた動機は“食べ物の恨み”。配給のコメを十分に分けてもらえず、日頃のいびりも相まって憎しみが爆発したというものですが、遺族側は否定しています」(同)
折しもGHQによる指示で、封建主義的な美徳をたたえる演目はご法度に。歌舞伎自体が存続の危機に瀕していた時代の出来事だ。
花道の下に広がる暗黒の奈落。そこから猿之助は、あまたの謎についていかなる口上を述べるのだろうか。
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