「わたしの川柳コンクール」受賞作から消えた“自虐”“揶揄” 「毒が足りない」「自虐時代の方が楽しかった」の声も 過去作を振り返り変化を考察してみた

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 第一生命は25日、「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」のトップ100を発表した。昨年まで「サラリーマン川柳コンクール」(サラ川)だったコンクールの名称が今年から変わったのだ。1位は「また値上げ 節約生活 もう音上げ」、2位は「ヤクルト1000 探し疲れて よく寝れる」、3位は「店員が 手とり足とり セルフレジ」、4位は「下腹に 脂肪が集合 『密ですよ』」、5位は「サイフより スマホ忘れが 致命傷」となった。

性別が分からないように

 名称変更について第一生命は「2022年、より幅広い方々にお楽しみいただけるよう名称を変更し新たなスタートを切りました」と説明。そのうえで募集する作品と対象を、「日常に起きる何気ない出来事をユーモアと風刺のセンスで表現した作品を毎年全国で大募集しています。本コンクールは、老若男女を問わずどなたでもご参加いただけます」と告知した。「サラリーマン」を冠すると男性の会社員・公務員だけを想像してしまうことと、コンプラ意識が高い今、名称変更が必要と判断したのだろう。

 その結果、以前よりも穏やかになったというか、男性による自虐とおちょくりが明らかに減った。「サラ川」時代を彷彿させるのは4位の「脂肪が集合」と、41位の「おやじギャグ ミュート機能で スルーされ」だ。「脂肪」川柳にしても、昔なら「妻の腹に脂肪が集合」的なものにしていたが、今回は性別が分からないようになっている。投票で順位は決まっているが、2月に第一生命が選んだ100首が対象なだけに、意図的にコンプラ度を高めることは可能だ。

妻はポーニョポニョ

 そこで、過去に“サラ川時代”に1位となった句の中から、コンプラ的に2023年には批判の対象になりかねないものを選んでみる。

 会社へは 来るなと上司 行けと妻(2020年 )

 我が家では 最強スクラム 妻・娘(2019年)

 退職金 もらった瞬間 妻ドローン(2015年)

 うちの嫁 後ろ姿は フナッシー(2013年)

 いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦(2012年)

 仕分け人 妻に比べりゃ まだ甘い(2009年)

 しゅうち心 なくした妻は ポーニョポニョ(2008年)

 昼食は 妻がセレブで 俺セルフ(2005年)

 オレオレに 亭主と知りつつ 電話切る(2004年)

 タバコより 体に悪い 妻のグチ(2002年)

 プロポーズ あの日にかえって ことわりたい(1999年)

 わが家では 子供ポケモン パパノケモン(1997年)

 いい家内 10年経ったら おっ家内(1993年)

 2008年(ポーニョポニョの年)には3位に「ぼくの嫁 国産なのに 毒がある」、8位は「『パパがいい!』 それがいつしか 『パパはいい』」が入った。サラ川の場合は1980年代後半にヒットした漫画『オバタリアン』の後継的な意味合いを感じる。あの頃「オバサン」は化け物のような存在で、うるさい・傍若無人・乱暴といった描き方をすることが許された。しかし、1990年代中盤以降は女性をそのように描くことはためらわれ、「夫が頭が上がらない存在」「ダメオヤジを支配する存在」という形になり、すっかり自虐的な川柳がウケるようになっていく。

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