長野「4人死亡」立てこもり事件 「極刑」確実視でも捜査関係者が気を揉む「鑑定留置」の行方

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「鑑定留置」で無罪判決

 鑑定留置とは容疑者の刑事責任能力を判断するため、医師が容疑者の精神鑑定を行って犯行時の精神状態を調べる制度だ。安倍晋三元総理を銃撃した山上徹也被告もおよそ5カ月半におよぶ鑑定留置を経て、今年3月に殺人罪などで起訴された。

「“トラウマ”として念頭に浮かぶのが6年前に神戸市で3人を殺害し、2人に重傷を負わせた事件のケースだ。一審の神戸地裁で“心神喪失の疑いがある”として無罪判決が下され、検察側は判決を不服として控訴。その控訴審が今年5月に大阪高裁で始まったばかりだ」(同)

 事件は2017年、無職の被告男性(32)が神戸市の住宅地で祖父母と近隣住民を包丁で刺殺し、さらに母親と近所の別の女性にもバットで襲いかかり重傷を負わせたというもの。一審では起訴事実に争いはなく、被告は初公判で起訴内容について「間違いない」と陳述した。

「取り調べの段階でも犯行を認めて『ためらいはあった』と供述する一方で、被害者らを『人間と同じ容姿だが人間ではない哲学的ゾンビ』などと表現。起訴前に2度の鑑定留置が行われ、精神鑑定を担当した2人の医師で見解が割れた。5人を死傷させるという凶悪な犯行に対し、供述など警察側の捜査結果だけをもとに合理的な説明を与えるのは困難。それが医師の判断に影響を及ぼした可能性を指摘する声は当時もあった。殉職した仲間や被害者遺族の無念に応えるためにも同じ轍を踏むわけにはいかない」(同)

 今回の事件でも鑑定留置は必至とされ、その期間も「最低でも3カ月以上」(同)になると見られているが、正義の裁きを曲げる結果にならないことが望まれる。

デイリー新潮編集部

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