メジャーに挑戦した多くの日本人野手が苦労したのに…レッドソックス「吉田正尚」の大活躍を裏付ける“あるデータ”とは

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嬉しい誤算

 吉田は7年間で三振が300個のため、シーズン平均は42・85個。前出のマニー・ラミレスは、MLB通算19年間で1813個の三振を記録し、シーズン平均は95・42個だった。

 三振の多さから「バッドを振り回すラミレス」のイメージが定着したのかもしれない。とはいえ、ラミレスの出塁率は通算4割1分1厘。やはりレッドソックスを代表するスター選手だっただけはある。

 先に21年シーズンで規定打数に達した打者の中でチーム最高の出塁率はラファエル・デバースだったと紹介した。彼は22年シーズンでもチーム2位の出塁率を記録している。

 そこでデバースの三振数を調べてみると、こちらは通算6年で621個。シーズン平均は103・5個で、ラミレスより悪い。

 日米の成績を単純に比較するのはあまり意味がないとはいえ、やはり吉田の出塁率と三振の少なさは出色だと言える。レッドソックスが注目したのは当然だろう。

「レッドソックスは吉田に、ホームランを期待してはいません。むしろシュアなバッティングでつなぐことを求めたのです。具体的には、打率3割、出塁率4割1分、本塁打15本、二塁打40本が吉田の“ノルマ”であり、彼は現在その期待に充分に応えています。むしろホームランが予想より多いという嬉しい誤算があるほどです」(同・友成氏)

対応力の高さ

 吉田はレッドソックスと5年総額9000万ドル(約123億3000万円)で契約を結んだ。当初は打順が4番で起用されることも多く、日本のファンでさえ過大評価を心配する声が出ていた。

「吉田の契約金が跳ね上がったのは、今季のMLBは『三振の少ない外野手』がブームになってしまったからです。競合するチームが多く、契約金が高騰したのです。レッドソックスは当初、吉田を『超攻撃的な1番』で起用する構想を持っていました。チーム事情から4番を任されたこともありましたが、最近は2番が多いようです。打順を変えても、しっかり役割を認識してプレーをします。吉田が首脳部から高く評価されている一因でしょう」(同・友成氏)

 4月下旬に調子を崩し、20日には打率1割6分7厘を記録するなど絶不調だった。そこから見事に蘇った。

「打撃フォームを修正し、ややオープンスタンスにしました。そうするとインサイドの球がさばけるようになり、とたんにホームランを量産できるようになりました。このように対応力が極めて高いところも、吉田がメジャーで安定した成績を残している理由だと思います」(同・友成氏)

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