本格的な事情聴取始まる「市川猿之助」心中事件 警視庁の捜査に立ちはだかる「3つの謎」
警視庁による本格的な捜査が始まったことで、事件の「真相」解明に向けた期待が高まっている。しかし現在、捜査員の前には「3つの謎」が立ちはだかり、今後の捜査が平坦でないことを示唆しているという。
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【写真11枚】29年前、慶応大1年生だった猿之助。やはり現在とは雰囲気が全く違う
5月24日、体調が回復したとみられる市川猿之助さん(47)に対する事情聴取が始まり、警視庁による捜査は今後、本格化する見通しだ。
「聴取に対し、猿之助さんは“両親と心中を図った”という趣旨の供述をしていて、発生当初の“家族で話し合い、死のうとした”との説明と矛盾するものではありません。ただし警視庁は、これから供述内容を時系列に沿って細かく検証していく方針。話の内容に整合性があるか、合理性に疑問はないかなどを慎重に見極めていく意向です」(全国紙警視庁詰め記者)
18日に都内目黒区の自宅で発見された際、亡くなった父親で歌舞伎俳優の市川段四郎さん(76)と母親(75)は、2階リビングの床の上で仰向けに横たわり、布団が掛けられた状態だったという。司法解剖の結果、2人の死因は向精神薬による中毒死とみられている。
「両親とは別の半地下の部屋で意識朦朧の状態で発見された猿之助さんも薬物中毒の疑いがあったため、緊急搬送時に胃の洗浄を受けています。しかし不思議なことに、警視庁が行った家宅捜索では自宅から睡眠薬などの薬物や薬包などは見つかっていません」(同)
これが「第1の謎」である。
「遺書」をめぐる謎
神奈川県警の元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏もこの点に首をひねる。
「死因となった薬物だけでなく、保管に必要な包装紙なども見つかっていないとなると、一般的に考えられるのは(それらを)“誰かが持ち去った”か“焼却やトイレなどで流した”かの2つの可能性です。しかし心中事件において、わざわざ“証拠”を隠滅する必要性や意味は見出せません」
2つ目の謎は「両親の遺書がなかった」点だ。発見時、猿之助さんの周囲からは手書きの遺書とみられる複数の「書き置き」が見つかった一方で、両親については遺書の類いは一切なかったという。
「四代目猿之助は市川猿翁から襲名したものであり、その猿翁は存命です。律儀で几帳面な性格の段四郎さんが死に際して、猿翁をはじめとした関係者にお詫びやお礼の気持ちも伝えずに命を絶つとは今も信じられず……。歌舞伎界とは個人でなく、家や一門単位で物事を考える世界でもあるため、段四郎さんや奥様であれば、のちに訪れる混乱を回避するためにも“ひと言”あるのが自然とつい考えてしまう」(歌舞伎界関係者)
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