村上春樹さんの新作の舞台はいつ? 小説における「時代の変化」を描く、描かない問題(古市憲寿)
村上春樹さんの新作『街とその不確かな壁』を読んだ。個人的に興味があったのは、インターネットが出てくるのか、ということ。結論から言うと出てきた。だが恐らく令和を舞台にしたわけではなさそうである。
次のような描写がある。「インターネットからプリントアウトしてきた町の地図をポケットから出して広げて見ると、その川は緩やかにカーブしながら町の外周近くを流れていた」。
この時点で主人公は40代半ば。スマートフォンの地図アプリを使わないところを見ると、2000年代初期という設定なのかなと思った。...