市川猿之助事件 緊急事態をわずか1日半で乗り切った澤瀉屋、先代が語った驚異の対応力の源

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「今度はうまくやれよ」

 澤瀉屋一座の芝居で、忘れられない光景がある。

 1997年7月、歌舞伎座の「當世流小栗判官」。先代市川猿之助(現・市川猿翁)演じる小栗判官が、馬にまたがったまま狭い碁盤の上に乗ってみせる。前半の見せ場である。馬の脚は2人の人間が演じており、ワイヤーで釣って、後ろ足だけで碁盤の上に立つのだ。

 ところが、碁盤の上に乗ろうとした瞬間、馬の体勢が崩れて、猿之助が落馬した。かなりの高さである。客席から「キャッ」という女性の悲鳴があがった(あとで聞いたら、馬の体内の太紐が切れたのだそうだ)。...

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