兄弟子による現役力士への暴力事件、部屋側が“口封じ”か「おかみさんが自分の母に電話していた」
「引退は明らかに変」
いったんこじれた師弟関係を元に戻すのは至難の業。それは湊部屋の主、湊親方(元幕内湊富士)と、今月4日に引退会見をしたモンゴル出身の元関脇逸ノ城(30)の例を見ても明らかである。何しろ会見の最中、二人は一度も目を合わせなかった。
「腰の状態が手術をしてもあまり良くならず、2日前に親方と話して決めた」
「自分はやりたかったけど、体が言うことをきかない」
会見でそう述べた逸ノ城。
腰痛の悪化によって引退を決断せざるを得なかった――その言い分を額面通りに受け取っている者は角界にはいない。
「逸ノ城が長年腰痛に悩まされてきたのは事実で、今年2月には腰のヘルニア除去手術をしています」
と、ベテラン相撲記者。
「しかし、その後の3月場所では土俵に上がり、十両優勝を果たしています。腰が良くなっていなかったり、予後が悪かったりしたらまず土俵には上がらないでしょうし、場所に臨んだとしても十両優勝は難しいはず。この状況で様子も見ずにいきなり引退というのは明らかに変です」
親方株の問題が関係
引退の背景にあるものとして、昨年11月にスポーツ紙などで報じられた「おかみさんへの暴行疑惑」を指摘する声は多い。
飲食店で泥酔し、介抱を振り払おうとした逸ノ城の腕がおかみさんにぶつかる。そうした行為を湊親方が再三注意しても直らず、挙句の果てには弁護士を通じてしか話し合いに応じないほど師弟関係は悪化した。こうした経緯はすでに報じられているが、そこに親方株(年寄名跡)の問題が関係していることは未だ表沙汰になっていない。
将来は角界に残りたいとの意向を持っていた逸ノ城は2021年9月に日本国籍を取得。同時に湊親方と共に、
「親方株の取得に向けても動いていました。最終的に目を付けたのは、元々は阿武松(おうのまつ)親方が持っていた『音羽山』という親方株でした」
湊部屋関係者はそう語る。
「湊親方は逸ノ城からお金を預かり、親方株の取得に動いていました。ところが22年2月、朝稽古に来なかった逸ノ城に対して“そんなんじゃ親方になれないぞ”と親方が怒った。すると逸ノ城は突然、“(親方株は)いりません”と言い出し、以後、何を言っても“弁護士を通して下さい”とかたくなな態度を崩さず、師弟関係がぎこちなくなってしまったのです」
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