世界柔道、男子は金メダル一つでパリ五輪選考はどうなる? 「経験の影浦、若さの斉藤でもめる」
“金ゼロ”だった2009年大会以来の体たらくだ。
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先の世界柔道で、男子代表の金メダルは7階級でたったの1個。東京五輪では5個も獲得したというのに、何たる凋落ぶりか。
「ひとえに井上康生前監督と鈴木桂治現監督の指導力の差。パリ五輪は来年に迫っているというのに……」
と全柔連関係者が嘆く。
「五輪前年の世界選手権の成績は、代表選考において最重要視されます。なので、ライバル丸山城志郎(29)を決勝で破って66キロ級を制した阿部一二三(25)は当確です。しかし、それ以外の階級で突出した成績を残した男子選手はいなかった。選考会が紛糾するのは避けられませんね」
とりわけ頭が痛いのが、五輪を連覇した故斉藤仁氏の息子、立(たつる)(21)がいる100キロ超級だという。
「スケールの大きい正統派柔道も魅力ですが、この世界には仁さんに恩を受けた人が大勢いますから、立君を応援する声はひときわ大きい。彼に金メダルを取らせるのは、今の日本柔道界最大の目標と言っても過言ではありません」
経験か将来性か
周囲の期待に応えるべく、立は着実に地歩を固めた。昨年の世界選手権では銀メダルを獲得。しかし今大会は、準々決勝で五輪連覇の実力者リネール(34)=フランス=に苦杯。敗者復活戦も、代表を争う影浦心(27)に反則負けを喫した。
「優勝はリネール。東京五輪こそ銅メダルでしたが、やはり世界最強の男です。彼を倒さない限り頂点には立てませんが、立君は勝ち筋すら見いだせなかった」
ところが、そのリネールを負かした男が日本にいるからややこしい。他でもない、影浦だ。20年のグランドスラム・パリで、当時154連勝中のリネールを下し、“リネールに勝った男”として世界に名を轟かせた。21年世界選手権では金に輝いている。だがそんな彼も今大会は3位決定戦で敗れメダルを逃したため、
「“代表レースで大きくリード”とまでは言えない。グランドスラム東京などまだ大会は残っていますが、結局は“経験の影浦”か“若さ、将来性の立”か、でもめるでしょう。最終的には、東京五輪代表選考の際に男子66キロ級で行ったワンマッチ決着もありうる」