イタリアで「時間にルーズ」が失われつつある? デジタル技術が消す「適当さ」(古市憲寿)
イタリアに「時間にルーズで適当」という印象を持つ人は少なくないと思う。実は今、イタリアの高速列車に乗りながら、この文章を書いているのだが、かつてないほど時間に縛られた旅行をしている。
今や有名観光地はほとんどが事前予約制になった。ミラノで〈最後の晩餐〉を観るにも、フィレンツェでウフィツィ美術館へ行くにも、時には数カ月前にチケットを買う必要がある(直前でも高額のガイドツアーに申し込むという裏技はある)。
チケットは「12時15分」のように細かく指定がされているので、きちんと時間通りに集合場所へ行く必要がある。...