京都タリウム殺人容疑者が「叔母殺害」で再逮捕 叔母管理の「開かずの金庫」を開けたがっていたという証言が

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 京都市内の女子大生をタリウムで殺害した容疑で逮捕された男が、3年前に自身の叔母も同様の手口で殺害しようとした殺人未遂容疑で再逮捕された。宮本一希容疑者(37)の叔母はいまも植物状態だという。

 本誌(「週刊新潮」)は女子大生の事件発生直後に、この叔母を巡る疑惑についてもいち早く報じている。

 資産家の叔母の身に何が起きたのか。事件のカギを握る「開かずの金庫」とは何なのか。事件の背景を見てみよう(「週刊新潮」2023年4月6日号の記事を再構成したものです)

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援助者だった叔母

 京都で育った叔母は実家の不動産業を引き継ぎながら、京都五花街のひとつ、宮川町で宮本容疑者が始めた「舞妓ビジネス」に対し、援助を行ってきた。

 しかし、彼女が原因不明の頭痛で突如、植物状態になってしまったのは2020年7月。女性の地位向上を目的とする国際団体の支部の会長に就任しようかというタイミングだった。

 大阪府警担当記者の解説。

「かねて、府警は叔母の病状に重大な関心を寄せていました。叔母が倒れた当時、診察した病院の医師が血液を保存しており、今回の事件後に鑑定したところ、タリウムが検出されたのです。府警は叔母に対する殺人未遂容疑でも捜査を慎重に進めています」

一等地の豪邸

 50年以上前、祖父の代から不動産業を営んでいた宮本家。この叔母は一家の中でも特に重要な役回りを担っていた。

 近隣の不動産関係者によれば、

「一希くんのおじいさんはややこしい物件を扱う業者で非常にやり手でした。当初は京都大学医学部近くで不動産業を営み、すぐに京都市中心部のビルを買い取り、引っ越してきた。185センチ近くあり、ポマードでオールバックに髪を固めて、イカつい印象です。でも近所では紳士的な方でした」

 祖父は1972年に不動産会社を興し、時に危ない橋を渡りながら、取引先を広げていった。後年の役員欄を確認すると、祖父の妻や息子(宮本容疑者の父)、娘(叔母)など宮本家の親族がズラリ。宮本家が市内の修学院離宮近くで200坪以上の土地を所有し、豪邸を建てられたのはこの祖父のおかげだった。

 親族の中で祖父が最も信頼を寄せていたのが叔母だ。

 近隣住民が言う。

「祖父は資産管理などで叔母を頼っていたようです。というのも、叔母の兄である宮本容疑者のお父さんはヤクザとの付き合いを周囲に平気で吹聴するなど、物言いが自分本位で思い込みの激しい方だった。そのくせ、祖父に寄ってくる人に誘われ、事業を始めて大失敗していたんです」

 祖父からこの父が激怒されたこともあった。

「お父さんの事業がうまくいかなかったとき、祖父から“お前は格好ばっかりつけやがって、カローラでも乗ってろ!”と怒鳴られていました。お父さんはスキーが趣味で、SUVに乗っていたのですが、“はい”と素直に従っていました。事業に失敗した後は外に勤めに出たと聞いています」(同)

冷遇された容疑者の父

 父は2001年に自身が所有する不動産が京都府の税務署に差し押さえられ、苦境に。さらに08年、ケーブルテレビ工事や不動産業などを手掛ける会社の代表に就任するも、10年には破産手続きにまで至った。

 祖父の築いた不動産業を継いだ叔母に比べ、父が祖父から評価されず、冷遇されていることは明らかだった。

 この関係性は叔母が植物状態に至る上での重要な背景となる。

 祖父が興した不動産会社は00年に解散。同時に同じ所在地で祖父の妻を代表とする別の不動産会社が設立される。すると、祖父が所有する不動産の一部は叔母に売買され、祖父が亡くなった後の08年、叔母はこの不動産会社を社長として継ぐことになる。

「白のベンツを運転して会社に来ていました。茶道が趣味で、毎週金曜に着物で来ては会社の1階で茶会を開いていた」(不動産関係者)

 実はこの叔母に対し祖父が遺言を託していた。不動産会社に置いてあった巨大金庫にまつわることだ。

祖父の遺言

 一家を知る関係者がささやく。

「不動産会社には高さ1メートルほどの金庫が置いてありました。中に何が入っているかは門外不出とされるも、なにがしかの財産があったのは間違いないでしょう。おじいさんは亡くなる前に、この金庫について、“娘に万が一のことがないかぎり開けてはならない”と言い遺していました」

 つまり、叔母以外にこの金庫を開ける権利はない、ということだ。

「このような遺言を残したのは、容疑者の父である、祖父の息子を頼りにしていなかったからです」(同)

 そして、金庫の鍵は宮本家が資産管理などで絶大な信頼を置いていた第三者に預けられることになった。

 それから10年以上の時が経った3年前の夏、叔母は頭痛を訴えて病院に運ばれ、そのまま植物状態になってしまう。まさに「万が一」の事態である。

 するとその年の10月、動けない叔母に代わり、宮本家の不動産会社の代表に就いたのが宮本容疑者だった。

 その直後、彼は周囲にこう漏らしていた。

 金庫を開けたいんだ――。

 この関係者が続ける。

「叔母が植物状態になった後、彼女名義のマンションを転売するなど、活発に不動産取引を行っています。叔母の資産が目当てだったのでしょう。一希くんは社長になってから、この第三者を資産管理の業務から解任し、金庫を開ける権利を得たようでした」

「妻はいまも豪邸で暮らしている」

 叔母の身に不測の事態が起きたときのために備えていた金庫を、彼は首尾よく手に入れたのである。

 しかも、不審な点はまだある。

 宮本容疑者の父は、叔母が植物状態になる直前に市内のマンションで孤独死している。原因は心疾患だった。

「お父さんは実家の豪邸を出て、ひとりで市内のマンションに暮らしていました。お父さんとその奥さんは夫婦仲が悪く、奥さんはお父さんと義母から散々きついことを言われ、いびられていたんです。近所からは“あれでよく宮本家を出ていかないな”と言われていたほどでした。それがなぜ奥さんではなく、お父さんが実家を出ることになり、突如亡くなったのか……。奥さんはいまも豪邸で暮らしているようです」(宮本容疑者の知人)

 この父の死についても「謎の死」と疑念を口にする関係者も存在している。
それに続いての叔母の事件、そして女子大生殺害……闇は深い。

デイリー新潮編集部

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