史上初、女子ゴルフのプレーオフで「双子対決」 コース上で相手を助ける“珍事”も
国内女子ゴルフで、ツアー史上初の珍事が起きた。
双子によるプレーオフ。演じたのは、共に2021年のプロテストに合格し、昨年から本格参戦している20歳の姉妹。妹の岩井千怜(ちさと)は昨年2勝を挙げ、姉の明愛(あきえ)も今年4月に初優勝、と実力は折り紙付きだ。
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福岡CC和白Cで行われた「RKB×三井松島レディス」でのことである。
初日、首位に立ったのは姉。妹は2位タイにつけ、2日目はそろって最終組に。
「そこで珍しいシーンがありましてね」
とツアー記者が明かす。
「この日、姉が首位をキープした一方、妹はスコアを崩し、17番パー4では、第2打をグリーン手前の急斜面にうがたれたバンカーに打ち込んでしまった。あまりに急で、立つのもやっと。そこで姉が斜面上から手を差し伸べた。妹は姉の手を握りながらなんとか足場を固めていました。でも、姉妹とはいえコース上ではお互い敵。キャディーならともかく選手が敵選手を助けるというのは極めて珍しい」
姉の援助は実を結ぶ。出すだけでも難しそうなバンカーショットだったが、妹は見事ピンそばにつけ、パーでしのいだのだった。
結果的にこの一打は、優勝の行方をも左右した。
三つ巴のプレーオフ
最終日。首位タイ発進の姉を4打差7位タイで追った妹は絶好調。前日苦しんだ17番もバーディーとし、単独首位でホールアウト。その後、昨年度賞金女王の山下美夢有(21)、さらに姉が首位に並び、三つ巴のプレーオフへと突入した。
さてこの姉妹、二卵性双生児なのだが、顔はそっくりで、身長体重もほぼ同じ。スイングも似ているから、観戦にはちょっとしたコツが必要かもしれない。
見分け方は髪形。妹は後ろ髪を束ねている一方で、姉はボーイッシュに刈り上げている。
閑話休題。プレーオフにギャラリーは沸いた。2ホール目。第2打を姉は“直ドラ”すると、妹も追随して“直ドラ”。バーディーパットも共に2メートルほどにつけた。が、それを姉は外し、妹は決めた。勝負あり。
この日は母の日。3勝目を挙げた千怜は優勝会見で、
「普段プレゼントはしていなかったので。今日が一番のプレゼントですかね」
ちなみに、賞金は姉妹合計で3108万円だった。