山川穂高「書類送検」の代償、不起訴でも“選手生命”の危機 元巨人投手との「類似点」と「相違点」

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山口俊元投手は“1億円超”のペナルティ

 プロ野球界に衝撃が走った。西武・山川穂高(31)の知人女性への「強制わいせつ致傷」疑惑を捜査していた警視庁麻布署は5月23日、同選手を書類送検した。昨季はチームの4番として本塁打、打点の2冠に輝き、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には日本代表として出場した。現役スラッガーの不祥事に、ファンの信頼は大きく失墜。検察の判断ともに、西武球団の対応が注目されることになった。

 今後の展開としては起訴、有罪なら解雇は必至だろう。一方で複数の大手メディアによると、書類送検では、起訴を求める「厳重処分」ではなく、検察に起訴か不起訴かの判断を委ねる「相当処分」の意見が付いたという。

 ただ、不起訴に至ったとしても、山川の選手生命が危機的な状況にあることに変わりはない。「西武は厳罰を科す可能性がある」(元NPB球団社長)からだ。

 過去を遡ると、2017年に傷害と器物破損の疑いで書類送検された巨人の山口俊の事案が類似例として挙げられる。同年の誕生日だった7月11日に飲食店で泥酔して手を負傷。治療先の病院で男性警備員に暴行し、扉を破壊したとされた。8月18日に書類送検された時点で示談が成立し、被害届も取り下げられていたが、巨人は同日にシーズン終了までの出場停止、合計1億円超とみられる罰金と減俸を科した。

 当時は日本プロ野球選手会がこの処分に対し、「重すぎる」として巨人に再検討を求め、熊崎勝彦コミッショナーにも適切な調査などを要望した。だが、巨人は妥当性を譲らず、DeNAから複数年契約でフリーエージェント(FA)移籍していた同投手の契約年数を短縮もした。

ソフトバンクへのFA移籍も水の泡

「西武の山川への処分は山口のケースが参考になるだろう。悪質性や、山口が書類送検時までに示談が成立済みだったことなどを考えると、山川への処分が山口を下回ることは考えづらい。いずれにしても山川の今季中の復帰は絶望的になったと言える」(同元社長)

 山川は国内FAの資格取得条件を満たすまで、あと15 日だった。昨オフには西武が提示した4 年契約を固辞し、単年契約を結んでいた。今オフ、FA宣言し、ソフトバンク入りが有力視されていたが、それも水の泡になった。

 処分としては山口並みの出場停止や減給どころか、球界関係者からは「西武は来季契約を結ばない選択肢を排除していないだろう」との声が相次いだ。

 確かに複数年契約中だった山口と異なり、山川は単年契約だ。生え抜き選手で、三顧の礼で迎え入れたFA選手でもない。“切りやすい”立場に置かれていることは確かだ。

 何より西武は07年にアマチュア選手に不正な金銭授与が発覚した「裏金問題」以降、銀行マン出身の後藤高志オーナーの下、NPB球団の中で最もコンプライアンス(法令順守)に厳格な球団に生まれ変わった。在籍中に不祥事を起こした大久保博元コーチ(現巨人)、相内誠らはいずれも球団から放出した。山川に更正のチャンスを与えることなく、事実上の解雇とすることは十分に考えられる。

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