香川照之の長男「市川團子」に称賛の声やまず 名門「澤瀉屋」の救世主となった19歳の“演目以上に数奇な運命”
歌舞伎界に「ニュースターが誕生した」ともっぱらの話題だ。弱冠19歳ながら、堂々とした演技で市川猿之助の代役をこなし、観客から万雷の拍手を浴びた市川團子――。数奇な運命に翻弄された青年は、存続も危ぶまれた名門・澤瀉屋の「救世主」となるか。
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事件の衝撃も冷めやらぬ5月20日、東京・明治座で「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」の昼の部が再開した。團子が代役主演を務める、同部「不死鳥よ 波濤を越えて」は瞬く間に千秋楽まで完売となる人気を見せ、“團子フィーバー”が起きているという。
5月21日に観劇した長年の歌舞伎ファンの一人がこう語る。
「台詞の抑揚や緩急の付け方が四代目猿之助とソックリで、劇が進むにつれ、まるで猿之助が喋っているかのような錯覚に陥ったほど。覚悟の伝わる演技には19歳とは思えない“凄み”すら感じられ、幕が閉じた後も場内アナウンスで退場を促されるまで、観客は團子に拍手を送り続けました」
わずか1日の稽古で、立ち回りや歌唱シーン、宙乗りなど、2時間を超える長丁場を淀みなく演じきり、劇中の「生きて、生きて、生き抜くのだ」と家臣に語りかける場面では、観客席からすすり泣く声も漏れたという。
父と師匠が続けて「炎上」
團子は香川照之(57)の長男として生まれ、2012年に五代目市川團子を襲名。翌年には「春興鏡獅子」(国立劇場)の胡蝶役で国立劇場賞特別賞を受賞するなど、早くから澤瀉屋の未来を担う存在として期待されてきた。
「團子が次の猿之助を継ぐのは既定路線であり、猿之助自身、彼のことは目を掛けて大事に育てていた。父親の香川照之も團子に猿之助を継がせる意向でバックアップもする考えだったが、『週刊新潮』が銀座クラブママへの性加害を報じたことで表舞台から姿を消した。父だけでなく、今度は師匠の猿之助にパワハラやセクハラなどの性加害報道が出て、両親と無理心中を図るという前代未聞の悲劇まで起きた。不幸が重なるなかでの大抜擢でプレッシャーも相当だったと思うが、見事に大役をこなしただけでなく、観客を魅了までした。彼の度胸と才覚には皆が舌を巻いている」(歌舞伎界関係者)
そんな團子に対する周囲からの期待は膨らむばかりだが、ここに来て心配の声も上がり始めているという。
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