巨人、育成出身・松井颯の初登板を見てびっくり…やっと明るい話が【柴田勲のセブンアイズ】

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投手陣へのアドバイス

 先の話になるが、この松井が先発でバリバリ回ってくるようになると、“魔の8回”に赤星優志を起用することもできる。あくまでも可能性が出てきたということだが。

 中継ぎ陣には不安がある。7、8回あたりはこれからも苦労するのではないか。一時、田中千晴が出てきた。いまはファームだ。やはりコントロールがよくないと勝負所では厳しいものがある。

 オリックスから移籍して来た鈴木康平は勢いのある投手だと思うが、いまはなんとかしている印象だ。どこまでいけるか。その点、左腕の中川皓太が復帰したのは大きい。彼には経験値がある。

 大勢にしても、もっと楽に投げたらいいと見ている。よしっ、さあいくぞ。気合満々でマウンドに上がっている。あれではしんどい。

 ブルペンでは楽に投げているはずだ。エィッと投げてあとは球に聞いてくれ。これではダメだ。低めにコントロールしてストライクで追い込むことができる。球に勢いがあるし質が違う。おそらく2試合連続で救援に失敗したことが頭にあるのだろう。ベンチも3点差くらいならともかく、1点差での起用は怖いのではと見ている。慎重かつ大胆にが理想なのだが。

 戸郷翔征、フォスター・グリフィンらの先発投手陣は最低でも7回までは投げてもらいたい。中継ぎ陣の負担が軽くなる。

坂本勇人の復活

 それにしても16日からのヤクルト戦3連勝が上昇への弾みになった。打撃陣が活発になってきた。好調になってきた。

 不振の象徴的な存在だった坂本勇人が本格復活した。レギュラーはレギュラーだし、いい打者はやはりいい打者だ。

 以前は振りが鈍かった。バットが遠回りしていた。アッパー気味だった。

 体に切れが出てきたのだろう。いまはトップからインパクトまで自分のポイントで球を捉えることができるようになった。

 中心打者が機能するとチームが活気づいてくる。坂本、丸佳浩、岡本和真、大城、ルイス・ブリンソン、アダム・ウォーカー……他球団は巨人のなにが怖いといって、走者をためてからの一発に尽きる。これが形になってきた。

 23日からは東京ドームでDeNA3連戦、26日からは甲子園に乗り込んで阪神3連戦だ。上位2チームと戦う。

 ここで大きく負け越すようだと、元のもくあみだ。交流戦前の正念場だ。首位戦線に食い込んでほしい。大いに注目している。
(成績は22日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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