巨人、育成出身・松井颯の初登板を見てびっくり…やっと明るい話が【柴田勲のセブンアイズ】

  • ブックマーク

松井颯の初勝利

 前回の今コラムを「次回こそ、景気のいい話がしたい」と締めたが、やっと巨人について明るい話ができるようになった。

 今季最長の5連勝で4月7日以来の3位に浮上し、貯金1だ。先々週あたりから「早く5割に戻してもらいたい」と言い続けてきた。首位・阪神とは5ゲーム差、追撃する態勢が整った。

 21日の中日戦(東京ドーム)では育成ドラフト1位の松井颯(はやて)投手が見事なプロ初勝利を挙げた。

 初登板初先発だった。育成ドラフト出身新人投手の公式戦勝利は松井が5人目で、登板初先発で勝ったのはプロ野球では2人目、セ・リーグでは初めてという。

 新人の初先発を考慮して、5回でお役御免となったが、打者18人に68球を投げて被安打2、5奪三振で無失点だ。立派なものだと思う。特に与四球1がいい。

 マウンド上では落ち着いていた。このへんも新人らしからぬところだった。最速151キロの真っすぐが重そうだった。低めにもコントロールされていたし、スライダーなど変化球もよかった。投球リズムがいいからバックの好守備も飛び出す。

 左打者にはシンカー、チェンジアップ気味の球を投げていた。効果的だった。フォークはどうかと感じた。見た感じではあまり落ちていなかったのではないか。

度胸がある

 感心というか、ビックリしたのは大城卓三のサインに2、3度首を振ったことだ。育成出身の新人でしかも初先発だ。

 私は1962年4月8日、高卒ルーキーにして阪神との開幕第2戦(後楽園)で先発した。村山(実)さんと投げ合ったが、5回途中までに4点を失って降板した。プロの洗礼を浴びる厳しいデビュー戦となった。

 この時は森(当時・昌彦)さんのサインにただ従った。首を振るなんてとてもじゃないができなかった。首を振る。自分が投げたい球がある。松井が置かれた状況でなかなかできることではない。度胸もいい。

 このまま長所を伸ばしてほしい。もっと速い球を投げたい、別の変化球をマスターしたい。こうなってくると、本来の投球スタイルが変わってくる。いまは外角低めへの精度をさらに上げることを主眼にすべきだ。

次ページ:投手陣へのアドバイス

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。