「少し考えさせてください」殺人容疑の中学教師の妻が口にした一言 犯行の背景に競馬やFXで数百万円の負債が

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競馬やFXで数百万円の負債

 江東区出身の尾本は日大を卒業後、10年4月に東京都の教員に採用された。初任地は同区深川の中学で、7年間勤めたのち新島へ赴任。3年を経て20年4月から文京区の中学へと異動し、現在の職場には昨年4月に移ってきた。社会科の免許を持ちながら、採用以来一貫して特別支援学級を担当してきたという。先の記者が言う。

「家庭では、妻との間に7歳の子を筆頭に2男1女がいて、7年前には生まれ育った地元に延床面積およそ20坪の3階建てを新築。3980万円の住宅ローンを組んでいます」(同)

 土地は17坪あまり。近隣の不動産業者によれば、

「周辺の坪単価はおよそ200万円ですから、物件の価額は土地だけで3500万円ほどとみられます。建物の広さからすると、頭金を支払ったとしてもごく少額で、ほぼフルローンに近い形で購入したのではないでしょうか」

 とのことで、一般的な35年ローンを組んだ場合、いかに低金利とはいえ月々の返済額は10万円を超す計算となる。一方で尾本は、競馬やFX(外国為替証拠金取引)で合わせて数百万円の負債を抱えていた。

「逮捕後は否認から黙秘に転じていますが、捜査本部は金策に困って犯行に及んだとみています。実際に、尾本自身が周囲に“やりくりがきつい”と漏らしていた事実も把握している。それでも『盗み目的だとしてもリスクに見合わない。数百万円欲しさにあんな殺し方をするのか』と、幹部は首をひねっています」(同)

年収は660万円ほどか

 そうした“やりくり”の実情に迫るべく、教員の給与について都に尋ねたところ、

「10年に新規採用された大卒の教職職員が平均的に昇給し、主任教諭試験にも合格していたとすると、給料月額に4%の教職調整額、そして20%の地域調整額などを加算し、年収は期末・勤勉手当込みで660万円ほどになると思われます。加えて特別支援学級の主任教諭であれば、月に1万1千円が給料調整額として支給されます」(教育庁人事部勤労課)

 新島に異動した翌年の18年1月、尾本は件の広報誌にこんな一文を寄せていた。

〈巡り巡って回ってきた1つひとつの素敵な出会いを大切にし、謙虚に生きていきたい〉

 が、逼迫(ひっぱく)した懐具合を埋め合わせようと家族に内緒で傷口を広げ、挙げ句に一家離散をもたらしたのであれば、それは虚言と断じざるを得ない。

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