戦車も弾薬も軍服も全部足りない…次々明らかになるロシア軍の惨状を見て今ウクライナ軍が考えていること

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戦車の被害は3000両!?

 軍事ジャーナリストがロシア軍の弱体化を確信したのは、1両のT-34-85を見た時ではなく、その後のパレードだったという。

「例年ならT-34-85の後、最新鋭の戦車T-14アルマータなど多数の戦車と軍事用車両が続きます。陸軍大国を自認するロシア軍の威信をかけたパレードが展開されるはずなのですが、今年はたった1両のT-34-85が象徴したように、戦闘用車両が少なく、規模の縮小は明らかでした。加えて、昨年は実施された戦闘機のデモンストレーション飛行も見送られました」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロシア空軍については、昨年から様々なメディアや専門家が「存在感が全くない」、「空から攻撃する姿が確認されていない」と疑問視してきた。パレードでデモンストレーション飛行が見送られたことで、さらに謎が深まったと言える。

「オランダに拠点を置く軍事専門のサイト『オリックス(ORYX)』は、ロシア軍戦車の被害状況を調査、発表しています。それによると、少なく見積もっても1900両、多ければ3000両の戦車が破壊されたか鹵獲(ろかく)されたそうです。ロシア軍は開戦当初、実戦で使用可能なT-72やT-90といった戦車を約2500両、保有していました。となると、3000両では保有数を超えてしまい、計算が合わないことになります」(同・軍事ジャーナリスト)

戦車バイアスロン大会

 オリックスはSNSに公開された最前線の画像や動画などを丁寧に分析し、ロシア軍戦車の被害状況を推計している。しかもT-72やT-90といった戦車の型式別に損害数を集計しているため、3000両という数字は決してデタラメなものではないという。

「ウクライナ軍の激しい反撃で大きな被害を受け、ロシア軍は骨董品とも言うべき古いタイプの戦車を前線に送っています。1962年に量産が決まったT-62を倉庫から引っ張り出し、1958年に登場したT-55も極東の戦車保管庫から鉄道でウクライナ方面に輸送しました。旧式戦車が戦力になるはずもなく、それだけ前線では戦車が不足しているのでしょう。オリックスの分析から、ロシア軍は2500両の主力戦車の大半を失い、旧式戦車も500両が損害を受けたと考えられるのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロシア軍の現状を指し示すものとして、ロシアが2013年から開催してきた「戦車バイアスロン」大会が挙げられるという。冬季オリンピックの正式種目「バイアスロン」と同じように、戦車の射撃精度と障害物ルートの走破タイムで順位が決まる。

「日本では知られていませんが、毎年20カ国を超える参加国があり、オブザーバー参加も含めると40カ国を超えるという非常に大きなイベントです。東欧圏だけでなく、ロシア製の戦車を使っているインドやミャンマー、ベネズエラやアルジェリアといった国も参加し、かつてはアメリカも招待されていました。重要なのは毎年のようにロシアのチームが優勝してきたことです。これは不正が行われたという意味ではなく、本当に無敵を誇ってきたのです」(同・軍事ジャーナリスト)

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