「らんまん」では料亭のおかみ役、宮澤エマが「ターニングポイントだった」と認める仕事といえば

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父親は駐日外交官の元ナンバー2

 宮澤本人はどんな女性なのだろう。生まれたのは1988年で、出生地は東京だ。母の啓子さんは宮澤元首相の長女で実業家、父はアメリカ人で元駐日アメリカ合衆国首席公使のクリストファー・ラフルアー氏である。首席公使とは大使館のナンバー2。当時の宮澤氏は副総理兼蔵相だった。

 1歳の時にはラフルアー氏の仕事の都合で渡米。幼稚園の時に帰国し、高等科まで聖心インターナショナルスクール(東京)で過ごした。このころ宮澤は元首相を「グランダッド」と呼んでいたそうだから、なるほどインターナショナルである。

 その後、米カリフォルニアのオクシデンタル大に入学。OBにオバマ元米大統領(61)らがいる名門大だ。宮澤は宗教学を専攻した。

 同大卒業後の2011年に帰国。22歳だった。翌2012年には本人の希望で芸能界に入る。まず、FMラジオ局・bayfm(千葉県千葉市)のパーソナリティーとなった。

 それから女優として売れっ子になるまでに10年ほど要したことになる。実力がモノを言う芸能界は、祖父や親に力があるだけでは通用しないことが、あらためて分かる。

 それでも元首相の孫や子供らが芸能界入りする例は少なくない。ミュージシャンで俳優のDAIGO(45)が故・竹下登元首相の孫なのは知られている通り。それをDAIGOはデビューから4年が過ぎるまで伏せていた。公表時には驚きの声が上がった。元首相が最後まで地味なタイプだったのに対し、DAIGOはド派手なヴィジュアル系だったためだ。

 宮澤氏と竹下氏は政敵だったものの、孫同士には関係のない話。言うまでもない。2人はTBSの情報番組「ひるおび!」やフジのクイズ番組「ネプリーグ」での共演歴がある。

 小泉純一郎元首相(81)の長男・孝太郎(44)は、父親が首相在任中の2001年に俳優デビュー。今や堂々の主演級だ。「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室」(テレビ東京、2016~2022年)の主人公・小早川冬彦は当たり役となった。誠実な男役を得意とする。

 曾孫もいる。タレントでエッセイストの安藤和津(75)の祖父は犬養毅元首相なので、安藤の娘・安藤サクラ(37)は元首相の曾孫に当たる。こちらも主演級である。国内トップクラスの評価を得ている。

 政治家と芸能人は全く関係ないようで、大きな共通点がある。どちらも人気稼業であるところ。世間の支持を失ったら、続けていけない。売れっ子も主演級も油断は禁物。宮澤らの奮闘は続く。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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