「らんまん」では料亭のおかみ役、宮澤エマが「ターニングポイントだった」と認める仕事といえば

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 宮澤エマ(34)が売れに売れている。現在はNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」に出演中。主人公・槙野万太郎(神木隆之介・29)の妻となる西村寿恵子(浜辺美波・22)の叔母・笠崎みえを演じている。ずっと売れている気がするが、引っ張りだこになったのはここ2年半だ。転機となったのはあの役である。

宮澤の運命を変えた役は…

 宮澤エマの芸能界デビューから11年。その演技力を否定する人はいないのではないか。とくに利発で押しが強い女性役を演じさせたら、抜群だ。

 昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、主人公・北条義時(小栗旬・40)の妹・実衣を演じた。物語の後半になると、執権になっていた義時に歯向かい、息子の阿野時元を将軍の座に就かせようと企んだ。野心たっぷりの女性だった。

 年が明けると、冬ドラマ「罠の戦争」(フジテレビ系)で週刊誌記者・熊谷由貴に扮した。怖い物なしで、大物政治家たちを次々と追い詰めた。主人公の政治家秘書・鷲津亨(草なぎ剛・48)とは盟友だったが、物語の後半で鷲津が迷走し、ダークな政治家になると、あっさりと決別。潔さを見せつけた。

 どちらの役も宮澤は適任だった。起用されたのは分かる。もっとも、宮澤が切れ目なくドラマに出るようになってから、まだ2年半しか経ってない。ドラマ初出演は2018年の「いつかこの雨がやむ日まで」(フジテレビ系)。5年前まではドラマへの出演経験がなかったのだ。

 ブレイクするきっかけとなったのは、2020年11月に放送が始まった朝ドラ「おちょやん」。2作目のドラマ出演だった。ヒロイン・竹井千代(毎田暖乃・11、成人後は杉咲花・25)の継母・栗子を演じた。

 元料理屋の仲居で、父・テルヲ(トータス松本・56)の再婚相手だった。もっとも、ぐーたらで、朝はなかなか起きないし、家事は一切やらない。おまけに自分が妊娠すると、千代を奉公に出す始末。ところが不思議と憎めなかった。一番悪いのは働こうとしないテルヲということもあったが、栗子が無邪気だったからだ。

 憎まれない悪女を演じるのは簡単ではない。ほぼ間違いなく嫌われる。宮澤本人も2020年12月2日のNHK「ごごナマ」に出演し、「難しかったですね」などと振り返った。役作りを相当考えたようだ。

 栗子役で評価が高まると、宮澤の周囲で変化が起きた。「故・宮澤喜一元首相の孫」と言われなくなっていった。

 今では元首相の孫であることを忘れている人もいるのではないか。だから「罠の戦争」で熊谷役に起用された際も「元首相の孫が政界に斬り込む」といった報じられ方がなかった。宮澤本人も各種インタビューで「栗子役がターニングポイントだった」と語っている。

ミュージカルで鍛えられた

 栗子役以降は、ドラマへの出演が相次ぐようになった。しかし、大きな役を演じ始めたのは「鎌倉殿の13人」以降。脚本を書いた三谷幸喜(61)の作・演出によるミュージカル「日本の歴史」(2018年)に宮澤は出演しており、その実績を買われての起用だった。

 宮澤はミュージカルで育った女優なのである。まずデビュー翌年の2013年に、宮本亜門氏(65)氏が演出した「メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~」に出演。以来、年2本ほど出るようになった。もともと歌と演技に興味があったそうで、早い時期からボイストレーニングなどを受けていた。

 松本白鴎(80)主演の名作ミュージカル「ラ・マンチャの男」(2015年)にも出ている。ドラマは朝ドラと大河を除くと、ほぼ稽古をせず本人任せだが、ミュージカルを含めた演劇は長時間にわたって稽古を積む。本番が始まったら、やり直しが利かないからだ。だから鍛えられる。

 放送中の「風間公親-教場0-」の第2話(フジテレビ系、4月17日放送)にもゲストとして登場。わが子のいじめ問題を直視しない教師をブロンズ像の一部で撲殺する母親・佐柄美幸を演じた。アリバイ工作が巧妙で、やはり利発で押しが強い女性だった。わが子のためなら殺しもするという烈しい母性も体現した。やはり憎めない面のある犯人だった。

「らんまん」での笠崎みえは東京・新橋の料亭のおかみ。第30話(5月12日放送)から登場した。「いい話を持ってきたの」と言いながら、姉の西村まつ(牧瀬里穂・51)と姪の寿恵子が根津で営む菓子店「白梅堂」にやってきた。何かと思ったら、寿恵子を玉の輿に乗せようとする話。

「新しい世になり、誰でもお姫様になれるんだよ」(みえ)

 みえは建設が進められている「鹿鳴館」で寿恵子を踊らせ、そこで上流階級の男に見初めさせようと考えていた。スケールのデカイ“玉の輿計画”だ。まつと寿恵子の意向などお構いなし。やはり利発で押しが強い。

 清貧の若き植物学者・槙野万太郎と寿恵子の結婚にあたり、みえはどう反応するのか。自分が勝手に描いた青写真と程遠いから、猛反対するかも知れない。みえが今後の物語のキーパーソンの1人であるのは間違いない。

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