「天然記念物の泉にコインを投げ込み…」「民家への不法侵入も」 やりたい放題なインバウンド観光客たち

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深刻な人手不足

 しかし、事態をより深刻化させているのは、受け入れる日本側の人手不足という問題である。

 はとバス関係者に聞くと、

「バスガイドを中心に、人手は足りていません。コロナのときに辞めていった乗務員が結構いて、以前150人くらいだったのに、今は100人ほどで回しています」

 先の人力車屋さん「時代屋」の藤原社長も、

「コロナ中にスタッフが減って、お客様をさばききれていない面はあります。休業手当を払って雇用は維持していたのですが、出番がない時期が続き、転職などで辞めていく従業員も少なくなかった。今はコロナ前の7割くらいの人員です」

 前出・浅草のホテル支配人も悩みを吐露する。

「今はアルバイトがメインの働き手になっていて、労働力が不足しているのが実情。バイトも時給でいうと1200円くらいだったところを1300円まで上げていますが、それでも人は来ません」

 当然、それによる“実害”は避けられない。

「清掃スタッフが足りておらず、部屋が空いていても清掃が追い付かずにお客様をお迎えできないこともありますね」(京都市内のホテル関係者)

沖縄ではイモ不足?

 一方、沖縄の土産屋が呻くのは、ヒトならぬイモ不足の現状である。

「ウチは紅芋タルトが一番の人気商品。今年に入って観光客が爆発的に増えたので、在庫が全く足りていません。今は1日千箱、おひとり様3箱まででお願いしているのですが、すぐに売り切れてしまいます」

 インバウンド客が溢れて観光地に害をもたらすオーバーツーリズム、そして人手不足にイモ不足。この点、日本一の観光都市、京都は祇園町南側地区協議会の代表幹事・太田磯一氏の話は示唆に富む。

「今の祇園は以前ほどひどい状態ではありません。トラブルや迷惑行為などの大半は中国人の団体客によるものでしたが、中国ではコロナによる移動制限がかけられ、その方々がまだあまり来日していませんので」

 もちろん、以前はやはり大変だったという。

「舞妓さんを深夜に付け回したり、着物の袖を引っ張って破いてしまったり。喫茶店のテーブルの上で子供のオムツを替えたり、なんていう事例もありました」

 そう指摘したうえで、

「これらの迷惑行為が中国からの団体客によるものだったと考えれば、これからまた中国からのお客さんが増えたら、同じようなことが起こる可能性は否定できませんよね」

 要はコロナ禍による“無風”の間に、いずれまた暴風が襲い来る可能性を想定し、対策を考えなかったことが問題なのだ。

 周知の通り、国際社会に向けた日本政府の観光振興策が功を奏し、訪日客は激増。2013年に1千万人を超え、19年にはじつに3200万人に届こうとしていた。その際、オーバーツーリズム状態は顕在化していたはずなのに、コロナ禍にあっては客数減に直面した旅行・観光業界を金で救おうとしただけで、問題の改善に向けた将来への備えに投資しなかった。

 その果てに今や、手をこまねいて思案投げ首の態なのだ。

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