「天然記念物の泉にコインを投げ込み…」「民家への不法侵入も」 やりたい放題なインバウンド観光客たち
「踏まれた麦が死んでしまう」
雄大な丘陵を彩る四季折々の景観が魅力の北海道・美瑛(びえい)町で農家を営む大西智貴氏は、
「コロナも明けて観光客が戻り、2月から3月にかけては韓国人を乗せたツアーバスが4~6台ほど来ていましたね。1台に40人ぐらい乗ってきて、昼時には飲食店に行列を作ってました。ガイドさんに聞いたところ、真っ白な丘の景色を見に行くツアーが韓国ですごくはやっているみたいです」
が、やはりここでも……。
「春先、雪の下では秋に植えた麦の芽が出始めるのですが、畑に入った観光客に踏まれると、麦の上の雪がギュッと締まって下の芽が成長できずに死んでしまう。困りものです」
お尻を拭いた紙を
米ニューヨーク・タイムズ紙が今年1月に〈2023年に行くべき52カ所〉のひとつに選んだ岩手・盛岡市にも波は押し寄せる。名所の櫻山神社に尋ねると、
「ニューヨーク・タイムズで紹介されてから、外国人の参拝客の方がグンと増えました。英語圏とアジア圏、半々ぐらいでしょうか。とにかく言葉が伝わらないので困っています。例えば神社の歴史や、お守りの効果や由来を説明しようとしても、こちらの拙(つたな)い英語では細かいところが伝えられない。歯がゆい思いをすることが多いですね」
そして、同様の事象が。
「盛岡市内では昔から地元の方がやっていた小さな料理屋などに観光客が押しかけ、キャパオーバーになる店も多いみたいで」(同)
富士山麓の湧水池で天然記念物として有名な山梨・忍野(おしの)八海のケースは、まったくしゃれになっていない。
観光案内所の関係者談。
「民家に外国の観光客が入って行ってしまうので困っています。近隣には昔から暮らしている方の家も多く、日本家屋が珍しいようで、庭や軒先にズカズカ入って行ってしまう。チェーンを張ったり注意書きで促したりしても、さほど効果がありません」
立派な住居侵入である。
「それに彼らは願いをかなえたいのか、泉に硬貨を投げ込んでしまうんです。これはEU圏の方が多い。硬貨をすくい上げる作業にだって税金がかかりますし、放置するとコインによって泉の水質が少し変わることがあるとも聞きました」
トドメはこれだ。
「トイレの文化がインドなどあちらの国とは違うのか、お尻を拭いた紙を流さずにゴミ箱や生理用品入れに捨てられてしまうことも。流してくれと書いてあるのですが、こればっかりは文化の違いですかね……」
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