日本の防空システムを毀損する上海電力の風力発電事業 見返り目当てで再エネ企業を応援する議員の名前は?
100キロ以上離れた場所でも影響が
防衛省によると、レーダーの標高や風車の高さ次第では、100キロ以上離れた場所でも影響が出るという。また、自衛隊はマイクロ波を用いた通信も利用している。その伝搬路を遮る形で風車群が建設されると、電波障害が生じて連絡や情報収集活動の妨げになる。
他にも、自衛隊が使用する砲弾やミサイル、艦船などの性能試験は、あらかじめ設定された場所で行われるが、これらの周辺地域や水域に風車が設置されれば試験の安全な実施が困難となるし、訓練にも支障をきたす。自衛隊と在日米軍が運用するレーダーの機能低下は、日本の防衛力を大きく毀損(きそん)することと同義であるのを忘れてはならない。
被害を受けるのは民間も同様だ。気象観測用レーダーは風車を強い雨雲として認識することがあり、旅客機や貨物輸送機の安全な運航に不可欠な気象状況の把握が難しくなるのだ。単純に、飛行経路の周辺に大型建造物が設置されるだけで、離着陸時の高度や経路の変更を余儀なくされるという問題もある。
防衛相は蚊帳の外
では、相次ぐ風力発電所の建設に政府はどんな対応を取っているのか。建設が申請されると、環境相や経産相が意見書を提出する。ところが、防衛相は蚊帳の外だ。巨大な風車がレーダーシステムに悪影響を及ぼす以上、設置の是非を決める際に防衛省の意見は必須のはずだが、現状では防衛省が風力発電業者に、事業計画の策定における可能な限り早い段階での相談を「お願い」するに過ぎない。
東京・丸の内に本社を置く上海電力日本(代表取締役・施伯紅)は、上海電力股彬有限公司が100パーセント出資する子会社だ。上海電力股彬有限公司は、中国の科学技術関係機関の一つである国家経済システム改革委員会の承認を得て、1998年6月に設立された。
2003年10月には上海証券取引所に上場し、発電や熱供給、電力サービスの3事業を担っている。売上高は385億元(約7500億円/22年12月期)と巨大で、主要株主は中国国有資産監督管理委員会と中国電力国際発展有限公司。両者の持ち株比率が過半数の、準国営企業だ。
その子会社である上海電力日本は、複数の子会社や関連企業を通じて、すでに山口県岩国市や茨城県つくば市、大阪市などで太陽光発電事業を展開している。そんな上海電力日本の傘下にある日本企業が株式会社SJソーラーつくば(東京都千代田区/代表者・施伯紅)で、ここが北海道の自衛隊基地の周辺における風力発電事業計画の出発点である。
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