話題騒然「ゼルダ休み現象」に見る“日本社会の変化” かつては休暇を巡って離婚沙汰も

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個々の幸せのために

 となれば、妻は「もう半年前に決めていたよね。なんで直前に予定を変えるの?」と怒りたくなるだろう。夫も「うるせぇ! オレは仕事を頑張っているんだ!」となる。

 結局この議論についてはどちらが正しいかの結論は出ない。だが、この夫婦がその後離婚したことは事実だ。この元妻は「あの時彼がモルジブ旅行に行かないと言ったことでもう私達は無理だと悟った」と言った。

 さぁ、「休暇」というものはかつて夫婦関係でさえ破壊するものだったのだ。そういった意味で、私は「ゼルダ休暇」がキチンとまかり通る社会になったことは大歓迎である。なぜなら人間というものは、個々の幸せのために生きているわけであり、自身が所属する組織の利益よりも、個人の幸せこそ重要視されるべきだと思うからだ。

 だから、今後とも「ドラクエ休暇」「WBC休暇」「日本シリーズ休暇」「花火大会休暇」などを日本人はバンバン表明すべきである。もっと進めば「イカ釣り休暇」「気力がない休暇」「酒飲みたいから休暇」でもOKである。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。最新刊に『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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