「ガチ中華」急増中 都内“ディープスポット”竹ノ塚でチャイナタウン化が進むワケ

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「チャイナタウン」化が進む理由

 周辺取材を進めると、竹ノ塚で中国系の店が増えている理由がおぼろげながら見えてきた。

「竹ノ塚にできた中華系飲食店のなかには、オーナーが先に池袋や秋葉原などで“ガチ中華”店を出して成功をおさめたケースが少なくない。池袋などの繁華街に比べ、竹ノ塚だとテナント家賃は3分の1程度ですむ一方、周辺に居住する中国人はヨソと比べても多い。コロナ禍を経て、コスパを重視する中国人オーナーの目に竹ノ塚は“穴場”と映っているようだ」(足立区内の中国系飲食店経営者)

 駅周辺に林立する竹の塚団地はUR都市機構の物件で、「都営住宅のように収入制限もなければ、一般の賃貸住宅のように保証人も不要」のため、在日中国人など「外国人でも借りやすい」のだという。

 竹ノ塚周辺に居住した者が、家族や親類などを呼び寄せるケースが一般的というが、東北系の店が中心となっているのには別の事情もあるようだ。

「大連出身者」の攻勢

 日本と中国東北部の歴史的な繋がりについて、『中国人が日本を買う理由』などの著書がある、中国事情に詳しいジャーナリストの中島恵氏がこう話す。

「満州事変後の1932年、日本軍が中国東北地方に満州国を建国し、終戦後には同地に残された在留邦人の帰国問題が浮上しました。そんな歴史的な経緯から、かつて日本人と一緒に仕事をした経験のある中国人を親に持つ子供やその孫の世代で、日本に関心を持ち、日本語を勉強しているケースが東北地方では珍しくありません。中国で日本語を学ぶコースとして最も有名なのも、大連外国語大学の日本語学科です」

 近年、都内で中国系飲食店を展開する経営者のなかに遼寧省大連市出身者が増えているのも、そういった背景が影響している可能性があるという。

「住民の“およそ半数が中国人”で有名な埼玉県川口市の芝園団地も、その多くは大連などを含む東北地方の出身者です。新天地を求める先として、東北出身者にとって“異国でありながら近い国”である日本を選ぶ傾向が見られたとしても何ら不思議ではありません」(中島氏)

 近隣住民からは「団地が廃墟と化すよりは、外国人に入居してもらったほうがいい」との声が多い一方で、「地域社会に溶け込まず、中国人同士で完結する生活圏を形成しているのが不安だ」との声も聞かれた。“治外法権”とならなければ、チャイナタウン化も歓迎されるかもしれない。

デイリー新潮編集部

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